bp Interview

株式会社デサント DESCENTE INNOVATION STUDIO COMPLEX OSAKA [DISC OSAKA]

「温度感」までを 共有できているような みんなの体感の場です!

株式会社デサント
R&Dセンター 機能開発部
部長
坪内 敬治 さま(左)
スポーツパフォーマンス研究開発課 課長
戸床 文彦 さま(右)
アイデアをすぐに形にして
モノとして確認できる価値がある

坪内:この施設ができるまでは、外の工場を使って試作品を製作し、測定も別な場所で行っている状況でした。ですから、滞留している時間があり、開発にかかる時間が読みにくいという課題がありました。今では、アイデアが出たらすぐに「プロダクションスタジオ」へ行って形にすることができます。モノによって確認できるのは、大きな価値ですね。

戸床:私たちの部門は運動の動作を分析することも多いのですが、今までは外部の施設を利用して仕事を行ってきた部分も大きいです。それが今回、自前の設備を持つことによって、さまざまなテーマでの実験や分析がすぐにできるようになりました。開発スピードがアップし、いい環境になったと思います。

坪内:2015年に発足した「新R&Dセンター建設プロジェクト」は組織横断型で、その下に各分科会を設けました。この中の、働き方を考える分科会では、各課の若手を中心としたメンバーが集まり、自由闊達に意見を出しながら議論を進めました。他社のオフィス見学を行い、働き方に関する内的・外的な関係性をまとめてコンセプトを策定し、設計を検討した先に、フリーアドレスの導入がありました。ですから、フリーアドレスというのは現場から立ち上がってきたものです。混じり合うことを目的とし、朝に出社したらくじ引きのルーレットを回して座る場所を決めます。これも現場で決めた方法ですが、良いコミュニケーションにつながっていると感じます。ただし、私たちは技術集団ですから、スキルの育成や情報・知識の共有も必要です。そこで、自発的に週2日は課のメンバーが集合しているところもあります。

外部との共創も大切にしながら自社における力も高めたい

坪内:現在は、働き方を考えたメンバーが中心になって自然発生的に生まれたチューニングチームもあり、目的意識を持って運用し工夫しながら、継続して働き方を改善しています。また、運用ルールの策定委員会もあり、場の使い方などを調整しています。いずれも義務的なものではなく、気づいた人が能動的に動いている感じです。新しい場を創造し、新しい働き方も取り入れていますから、もちろん不具合が生じる部分もあります。ですから、そこを前向きに調整し改善していく活動は大切だと思っています。

戸床:DISCができるまでは、私たちは社外の研究開発機関と協業してオープンイノベーションでの商品開発に取り組んできました。もともと自前主義的な考えにはこだわらず、さまざまな社外の機関との共創をする意識が高かったのです。DISCが完成した今、自分たちでできることが大きく広がりました。自分たちのアイデア、他にないことに自分たちでチャレンジできる能力をこれまで以上に持てたことになります。これをしっかりと実行することはもちろんですが、今までよりさらに社外の研究開発機関との取り組みを強くし、魅力的なイノベーションを実現するためにも活用していきたいと考えています。

過去から現在までの開発商品が展示されている「ヴィジオギャラリー」(展示設計・デザイン:乃村工藝社)

気軽に情報交換もできる「カフェ」と「ラウンジ」。

2Fに設けられたガラス張りの明るい会議室。

私たちのブランドの世界観を
みんなで熱く語り合えた

坪内:働く場を自分たちで組み上げたわけですから、ここにいると、自分たちの仕事の流れが一目で分かります。すべてガラス張りですし、動きがすべて見えるレイアウトになっている。トップアスリートの方が来訪されてウエアを試着している姿もリアルに分かる。自分たちのアイデアがどういう形でアウトプットされようとしているか、ダイナミックな感覚として得ることができます。そこでポロッと出てくる一言の感想にも、みんなが反応するようになリました。何か「温度感」の共有まで図れているような気がします。

戸床:今後はもっとしっかり地力をつけて、いろんな人にも来ていただきながら共創によるイノベーションを生み出し、新たな情報発信を行っていきたいです。

坪内:オフィスづくりを通して、デサントという会社の世界観をみんなで語り合う機会も、とても貴重だったと感じます。華美なこと、虚飾なことをしないというデサントブランド哲学も、このシンプルな建物に生かされています。ですから、ここを訪れた人に「デサントはこういうことがしたいんですね」と言ってもらえるのは、とてもうれしい。この場そのものが、私たちのメッセージとして伝わっていると感じます。また、オフィスづくりにあたり、外部のパートナーの方々からのさまざまなアドバイスがありがたかったです。ネットワークによる人とのつながりが、私たちの創造のエンジンになったと思っています。

WORKER’SVoice

人とのつながりで得た情報を仕事に反映できるし
自分のメンタルに合わせて場所を選ぶこともできます。

山田: 以前のオフィスよりも、いろんな人と話す機会が増えてさまざまな情報を得られるので、分からないことはすぐ誰かに聞くという習慣も身につきました。私自身の成長にもつながっています。

多田: 基本的にフリーアドレスで、声をかけやすいですね。他のグループの話にも入っていきやすい環境です。私が所属する課は、週2日は固定席にして情報共有を図っています。課内のつながりも必要ですし、課を越えたつながりも大切ですからね。

山田: 私は週5日ずっと、くじ引きによるフリーアドレスです。オフィスづくりでは、多田さんも私も働き方を考える分科会に参加し、レイアウトやフリーアドレスの運用の仕方まで考えました。自分がどうすれば働きやすくなるか、第三者視点で考えるきっかけになったと思います。

多田: 分科会ではかなりいろいろな意見が出ました。一人で集中できる席がほしいとか、逆にワイワイガヤガヤ話のできるスペースがほしいとか。しっかりと形になりましたね。他社のオフィスを見学してイメージができていたのもよかったと思います。

山田: オープンだしガラス張りですから、自分がどこにいても、今誰が何をしているかが分かる。ですから、つながりで得た情報を仕事に反映させられるし、自分のやりたいことに合わせて自由に場所を選んで働くこともできる。デサントならではの、他にはないオフィスだと思っています。

R&Dセンター 機能開発部
機能・品質開発課 主事
多田 和代 さま
スポーツパフォーマンス研究開発課
山田 恵里 さま
bp vol.33掲載(2020.04発行)