株式会社デサント
OFFICE

株式会社デサント
DESCENTE INNOVATION STUDIO COMPLEX OSAKA [DISC OSAKA]

DESCENTE LTD.

未来へのベクトルを加速し、可能性に挑戦するオフィスphoto:Nacása & Partners

「イノベーションスタジオ」と呼ばれる、フリーアドレスを導入した1Fの執務エリア。この場を中心に、製品開発を支えるガラス張りの諸室が隣接している。

緑に囲まれ、外のトラックも見える「イノベーションスタジオ」。タスクアンビエント照明や床吹出し空調などにより、快適な執務環境を実現している。

「イノベーションスタジオ」には、ロングテーブルやファミレスタイプの席など、さまざまな設えが用意され、仕事の内容によって使い分けることができる。

主素材、副素材、製品、プリントなどの二次加工の基本物性と機能性を総合的に評価できる「エバリュエーションラボラトリー」。

水着からダウンまで幅広いアイテムを対象に、型紙作成から縫製までサンプル作成の全工程を行える「プロダクションスタジオ」。

最先端技術を生み出しながら
発信を行う共創のステージ

DESCENTE。それはフランス語で「滑降」を表す。常に最も優れたものに目を向け、時代の要求を先取りし、積極的に製品化していくという意味が込められている。株式会社デサントのスピード感を働き方においても体現し、「モノを創る力」を強化するため、新しい施設の実現へと向かうプロジェクトが、2015年にスタートした。大阪・桃谷にあった拠点を見直し、研究開発、試作、試験機能を一体化したR&Dセンター構想に着手。そして2018年7月、大阪・彩都西にDESCENTE INNOVATION STUDIO COMPLEX OSAKAが誕生した。頭文字を取って通称DISC OSAKA。ここに機能開発部と企画開発部の2つの部門を集約した。

 コンセプトは、「世界一、速いウエアを創る」。あらゆる可能性への挑戦を実践する、デサントテクノロジーの新たな進歩が始まる場所だ。ここに人々が集まり、共創の舞台となり、最先端技術の創造と発信を行っていく。そのために必要なことをオフィスづくりのプロジェクトで議論し、4つの施策コンセプトとしてまとめた。1つめは、多様な情報に触れ、アイデアをひらめく。2つめは、素早く形にし、その場で体感する。3つめは、分かりやすく伝え、双方向に対話する。4つめは、みんなが気軽に集い、ナレッジを共有する。この4つの施策を共有しながらオフィス構築が進められた。

1行目:「イノベーションスタジオ」では、開発のスパイラルアップにより「新しいモノ・コトを創造する拠点」となっている。

「イノベーションスタジオ」では、開発のスパイラルアップにより「新しいモノ・コトを創造する拠点」となっている。

3行目:テーブルを囲み、素材を見ながら、いつでも気軽に打ち合わせができる。

テーブルを囲み、素材を見ながら、いつでも気軽に打ち合わせができる。

2行目:「イノベーションスタジオ」の奥に見えるのは、「エバリュエーションラボラトリー」と呼ばれる機能品質評価を行う実験室。

「イノベーションスタジオ」の奥に見えるのは、「エバリュエーションラボラトリー」と呼ばれる機能品質評価を行う実験室。

4行目:窓側に設けられた、一人で作業を行える集中スペース。

窓側に設けられた、一人で作業を行える集中スペース。

企業哲学を反映した
スピード感のある創造の場

DISC OSAKAは、光と風を取り込んだ天井高9.2mの開放的な空間であり、自然の中で働いているようなやすらぎに包まれた環境である。1Fは執務エリアである「イノベーションスタジオ」を中心に、製作・測定・実験環境をまとめたワークエリア。フリーアドレスを導入し、研究開発のフェーズやその日の仕事の内容に合わせて、各々が最適な場を選択しながらモノづくりのパフォーマンスを発揮することができる。集中スペースやファミレスタイプの席、「ワイガヤスペース」なども設けられ、社員は組織横断的なプロジェクトにも参加しながら、自由にコミュニケーションを取っている。

 そして「イノベーションスタジオ」を中心にして、ガラス張りの諸室を配置。ミシンなどが用意されアイデアを形にする「プロダクションスタジオ」、機能品質評価を行う「エバリュエーションラボラトリー」、多目的な競技の測定を行う「スポーツパフォーマンススタジオ」などが並んでいる。つまり、ここでアイデアを生み出したウエアなどは、すぐに作れて、すぐに試せて、すぐに測れて、すぐに修正することができるのだ。それはまさに「世界一、速いウエアを創る」ための空間であり、視線を遮るものがないため、どこにいても製品開発のプロセスを肌で感じることができる。

 さらに、2Fは会議室や「カフェ」「ラウンジ」「ヴィジオギャラリー」などをまとめたサポートエリアとして機能。階段を使って1Fと2Fを行き来することで気分を換える社員も多い。

 オフィスの満足度調査においても、各項目の満足度は以前より飛躍的にアップした。機能開発部 部長の坪内敬治さんは、これまでとの働き方の変化について、「現場でお互いにちょっと声をかけながらチームを組む小集団が、たくさん生まれるようになりました。それはナレッジの共有ができ、共創ができている証でもあるでしょう。社員のモチベーションも高まっていますし、ここから新しいことが生まれていく期待感があります」と語る。

 坪内さんは、この場を「私たちの出で立ちがあり、機能美がある」とも語った。Form Follows Function 〜速いものは必ず美しいというモノづくりの哲学は、働く場、そして働き方にまで行き渡っている。

建物の中央に設けられた、クリエイティブな発想のもとで社内外の共創ができる「ワイガヤスペース」。

「ヴィジオギャラリー」と呼ばれる、同社の開発商品が展示されているギャラリー。議論を発火させる場として、打ち合わせにもよく使われている。

2Fには「カフェ」「ラウンジ」があり、リフレッシュやランチだけではなく、偶発的なコミュニケーションが生まれる場にもなっている。

2Fには「カフェ」「ラウンジ」があり、リフレッシュやランチだけではなく、偶発的なコミュニケーションが生まれる場にもなっている。

2Fには「カフェ」「ラウンジ」があり、リフレッシュやランチだけではなく、偶発的なコミュニケーションが生まれる場にもなっている。

1行目:ブランドの世界観を表現した開放的なエントランスホール。

ブランドの世界観を表現した開放的なエントランスホール。

3行目:エントランスホールから「イノベーションスタジオ」へと続くオープンな通路。開発活動を表出し、お互いに気づきを得ることができる。

エントランスホールから「イノベーションスタジオ」へと続くオープンな通路。開発活動を表出し、お互いに気づきを得ることができる。

2行目:敷地や地形が持つベクトルと、企業哲学にある未来への力強いベクトルを重ね合わせた美しい建物である。

敷地や地形が持つベクトルと、企業哲学にある未来への力強いベクトルを重ね合わせた美しい建物である。

4行目:建物を一周する250mのランニングトラック。

建物を一周する250mのランニングトラック。

DATA

所在地大阪府茨木市彩都やまぶき2-3-2
オフィス対象面積4,307㎡
オフィス対象人員50名
インテリア竣工2018年7月
建築設計・デザイン竹中工務店
展示設計・デザイン
(ヴィジオギャラリー)
乃村工藝社
オフィス家具オカムラ
bp vol.33掲載(2020.04発行)