正木 郁太郎 - futureplaceインタビュー

の人とのつながりがあって、そこで自由度を 与えられると、面白い研究につながったりし ます。そうしてできた研究テーマを新しく自分 が形にできたら、その後は誰か他の人に任 せて、自分は他のテーマに移ってもいい。自 分の役割はそういうところであって、他の研 究者の人たちにも面白がって参入してもら えるように現場の問題意識を翻訳して、ア ピールすることも大切にしたいですね。 外向的というか、コミュニケーション上手 だからこそ、そのような仕事のスタイル が向いているのかもしれませんね。 いやいや、実は元々は外向的ではなく、学 生時代はどちらかと言うとトップの神輿を担 ぐ裏方的な人間だったんです。その人が放 り投げてしまったものを拾う役割(笑)。就職 活動でも面接が苦手で、できれば人と話し たくないというタイプでした。今の自分が変 わったとすれば、いろんな人と話して、そこか ら得られる情報が次の面白いことにつなが るのが分かったから、どちらかと言うと無理し て頑張ってるんですよね(笑)。 ダイバーシティの推進は 良い働き方とイコールではない 先生がモットーにされているのは、どんな ことですか。 すべての研究に通じる、すごく簡単なことで す。一生懸命、燃え尽きるくらいまで考える 正木 郁太郎 東京大学大学院 人文社会系研究科 研究員 I N T E R V I E W まさき・いくたろう 1989 年、東京都生まれ。東京大学文 学部卒業、同・大学院博士後期課程 修了。博士(社会心理学)。社会心理 学の観点から、企業を含むさまざまな組 織のダイバーシティ・マネジメントや人材 育成、組織文化をめぐる諸問題などを 対象に研究を行っている。 2019 年 4 月 現在、東京大学大学院 人文社会系研 究科で研究員を勤める傍ら、個人事業 主としての兼業により、多くの企業との 共同研究・コンサルティング業務にも従 事。主な著書・論文は「職場における性 別ダイバーシティの心理的影響」(東京 大学出版会、 2019 年)などがある。 ダイバーシティなどについて分かりやすく丁寧に説明 された。 していったら、一人ひとりが好き勝手にやっ て、会社である必要がなくなってくる。一方 で、統合の方だけ重視してしまうと、管理す る方向に向いてしまって、なかなか新しいこ とが出てこない。そのバランスの取り方だと 思います。では、どうすればバランスが取れる かと言うと、そこに長けた経営者がいる場合 も、人事が優れている場合も、ワーカーが優 秀な人たちだったという場合もあると思いま す。ただクリエイティブな人たちだけ集めるの であれば、組織じゃなくてもいいんですよね。 先生は大学にいて、なおかつ個人事業 主としても活動されていますが、そのメ リットはどんなところにありますか。 自分の研究内容そのものに対するメリットが ありますね。まず、限られた人だけよりも、物 事を真面目に考えているいろんな人たちと コミュニケーションを取る機会が多い方が、 問題意識としていろんな種がもらえます。外 ということですね。例えば、よく世の中で言わ れている話だと、ダイバーシティがイコール 女性活躍推進で、イコール女性の管理職を どう増やすかみたいに言われますよね。あと は、ダイバーシティと言えばイノベーションに つながるとか。でも、「それって本当?」と考え た先に、きっと重要なことが待っている。それ を、飛び石を飛び続けるように考え続けたい と思っています。 イコールではないと考える。面白いですね。 働き方とダイバーシティも、密接に関わり 合ってはいるけれど、イコールではないと感じ るんです。よく、ダイバーシティを高めるため にはどうすればいいかという時に、いきなり働 き方の問題に飛んでしまうことが多いと思い ます。柔軟な働き方を整備し、残業時間を削 減しましょうとなりがちです。でも、本当にそれ だけなのでしょうか。自分の会社に必要なも のは何なのか、もっと落ち着いて考えてみる 必要があると思うんです。人が自分のキャリ アを大切にしながら、やりたいことに向かって 自由に自立的に働けることは、もちろん方向 的には重要だと思います。ただし、その方向 が分かりやすいだけに、何か見落としていな いか注意する必要があると思うんです。 確かに、社員が自由に自立的に働ける ことが大事で、オフィスづくりもそれをサ ポートしたいという会社は多いですね。 男女関係なく、個人が自立したいかしたくな いかって、大きな分かれ目だと思うんです。 一方では、自分が何をしたいかがもう既に分 かっていて、好きにやりたいのでサポートし てほしい、そうしたらいくらでも走るからという 社員がいます。また一方では、どちらかという と緩めに働きたい、ワークとライフは切り離 したい、役割は決めてほしいという社員もい ます。日本のいろんな会社を見ていると、ま ずそこが 2 つに分かれていると感じます。そ れがどっちかによって、コミュニケーションの 取り方は変わってきますね。また、会社として 社員が自立する方に向かっていくのか、全 員が自立してしまったら面倒臭いよねという 方向なのか。そのあたりはこれからの時代の キーになるかもしれません。 信頼関係や人間関係は 絶対に効いてくるファクター よく分かります。そうすると、コミュニケーショ ンのためのツールも、ただ導入することだ けが重要ではないのかもしれませんね。 例えばテレワークができるツールを入れるこ とも大切でしょう。でも、いろいろなデータの 分析をしたり調査して気づくのは、結局重要 なのは信頼関係があるかないかなどの泥臭 いところだったりするということ。ツールはいく ら出費してこれを導入したらこうなりましたと 分かりやすいのですが、信頼関係となると途 端に抽象度が上がり、ほわっとした捉え方 になってしまう。でも、信頼関係や人間関係 は、絶対に効いてくる部分であり、私はそこ を研究しなければいけないと思っています。 信頼関係を分析するためには、心理学や社 会学など、いろいろな学問の知識も必要に なりますし、研究者の出番だと思います。 そこでやはり先生の出番になるわけです ね。そうしたアプローチの中でも、まずは とにかくやってみるという積極的な姿勢 が大切なのかもしれませんね。 そうですね。もう一つ付け加えるとすれば、「や りっぱなしにしない」ということでしょう。やっ てみて 10 失敗しました、 1 だけ当たればいい やではなく、じゃあ 10 はどうして失敗したのか を考えたいと思っています。確率的な問題で の失敗だけではなく、ある程度説明できる部 分はあるはずなんですよね。後悔しなくても、 反省することは大切です。反省しないで失敗 し続けるのではなく、反省したことを組み合 わせて、考えることを決してやめない。その先 に、きっと何かがあるはずだと思っています。 インタビューが行われたのは、港区の赤坂インター シティ AIR にある、オカムラの Open Innovation Biotope “ Sea ”。 best practice for work place VOL.30 | APRIL 2019 IKUTARO MASA KI inter v iew with

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