藤本 あゆみ - futureplaceインタビュー

か、選択肢の幅が生まれていなかったら意 味がない。だから、その間は全力でやろうと 考えているんです。その後は解散でも、カタ チを変えても、誰かに譲渡してもいいと思っ ています。「続けない」ということを一つのコ ンセプトにしていますね。 そうですか!驚きました。潔いですね。 ですから、カンファレンスの一回一回もすご く大切にしていて、テーマを毎回変えてい るんです。企業って、どちらかというと「続け る」ことを重視しますよね。例えば、一つの 働き方プロジェクトで、検討に 3 ヵ月、検証 に 1 年、実際にプランニングして動くまでに 3 年かかっちゃいました…となるようなことも 多いでしょう。でも 3 年経ったらもっと社会 が変わっているはずなんですよね(笑)。時 期がずれちゃったけどやりましたというので は、もったいないです。だからこそ私たちは、 遠慮なく思い切りやろう、先に行こうとい うコンセプトで、一緒に先に行きましょうと 声を上げていきたいです。 なるほど。そうした組織や仕事のスタイ ルが、私たちに新しい働き方の可能性 を見せてくれるかもしれないですよね。 そうなんです。だから私たち自身が一つの実 験台だと言っていて、 at Will Work で体験 していることはどんどん情報発信しています し、私たちが体験していない情報はアワード やカンファレンスで集めています。ですから、 働き方で困ったことがあった時、ここに来る と何かのヒントはあるよね、という感じで親し んでもらえたらいいですね。 細部にある核心に気づいて みんなでニヤッとできたら楽しい こんなに働き方が注目される時代になっ て、どの企業や組織でも、改革するなら 今っていうところもあるんでしょうね。 今がいちばん働き方の過渡期でしょうね。こ れまでは終身雇用も含めたシステムが機能 していたはずですが、社会が変わり、世界が 変わり、その真っ只中に日本がある。こんな に変わる時代にいて、変えることに携わるこ とができる。今の時代を楽しみながら、その 先の未来へ続く働き方を創造できるなんて、 とても面白いなと思っています。 その一方で、働き方改革と聞くと「また か」「なんだよ」とネガティブに反応する 人も若干いますね(笑)。 来年の 2 月に開催するカンファレンスのテー マが、「働くをひもとく」。今までの時代を築い てくださった方からもいろんなお話をうかがう 予定です。今は「とにかく新しい働き方にし なければいけない」みたいな風潮ですが、昔 の日本の働き方がダメだったということでは ないですよね。ですから、「どうしてこのしくみ ができたのか?」などの時代背景を知れば、 もっとこの時代にも活用できるし、変えなくて いいことも見えてくると思っています。日本の 働き方やオフィスの歴史を話せる方々にもご 登壇いただいて、次の時代のステップにした い。企業によっては終身雇用制をキープする ところがあっていいでしょうし、いろいろな選 択肢のあることが大切だと思っています。 決めつけない、選択肢があることは重要 ですね。ところで、多くの企業のいろいろ な働き方を見ていく中で、特に面白いと 思ったことは? 働き方改革を実現したという企業で、実は全 「 Plug and Play Shibuya 」には、さま ざまな使い方のできるステージがあり、 イベントなども開催されている。 best practice for work place AYUMI FUJIMOTO inter v iew with 藤本 あゆみ 一般社団法人 at Will Work 代表理事 Plug and Play Japan 株式会社 マーケティング / コミュニケーションディレクター I N T E R V I E W ふじもと・あゆみ 1979 年、東京都生まれ。東京経済 大学コミュニケーション学部卒業後、 2002 年にキャリアデザインセンターに 入社。 2007 年にグーグルに転職。同 社初の営業部女性マネージャー、人 材業界担当統括部長を経て、 2014 年 より女性活躍プロジェクト「 Women Will Project 」のパートナー担当とし て従事。同社退職後の 2016 年 5 月、 一般社団法人 at Will Work を設立。 株式会社お金のデザインでの PR マネ ジャーを経て、 2018 年 3 月、 Plug and Play Japan 株式会社でマーケティン グ / コミュニケーションディレクターとし ての新たなキャリアをスタートさせた。 然外に出て来ない部門の、この人がキーマ ンだったみたいなこともあるんですよ。その 人の強い想いが今につながっている話を 聞くと、外から見た企業のイメージとは違う と感じることもありますね。どうしても分かり やすいトピックスばかりにスポットが当たり がちですが、細部にある核心に気づけると 楽しいですね。「私は見えたよ」みたいな瞬 間。パッと見は分からないけれど、そこに隠 れていた「企み」や「こだわり」にみんながピ ンポイントで気づいてニヤッとするような瞬 間が、もっと世の中に増えたら面白いなと 思います。 いろんな人が気づけるような 「企み」を続けていきたい ありがとうございます。オフィスについて もうかがいたいのですが、デザインとい う視点で何かお話しいただけますか。 デザインにはその会社の文化やこだわりが 反映されますよね。なんでもいい訳ではなく、 こだわりが個性になり、メッセージになるか ら、やはりデザインって大切だと思います。 その背景を社内の人や誰かに分かるように 説明できることも大切でしょうし、その時に使 う言葉も重要になるでしょう。言葉じゃなくて キャラクターにした方が、より伝わる場合も あるかもしれません。例えば、働き方改革の ポスターを作ってみても、それぞれ全然違う はずなんですよね。そんな展示会をしてみる のも楽しそうですね。 働き方改革のポスターなんて、ユニークな 視点ですね。今日は面白いお話ばかりで した。最後に、藤本さんご自身が大切に されている考え方を聞かせてください。 他の人ができることは、自分がやらなくてい いと思っているんです。他でやれないこと は、そのユニークさに価値が出ます。カン ファレンスの登壇者の組み合わせなども、 他所ではやっていないものにしたいと、すご く調べますし考えますね。そうしたことが私の 「企み」。面白いことをいろんな人に気づい てもらえるような「企み」を続けたいですね。 楽しくないと、みんなやりたくないじゃないで すか。必要だから辛くても頑張りますという のは、あまり好きじゃないですね。楽しい情 報、いい情報を広げて、みんながもっと活用 できる社会になるといいな、社会が変わるた めのきっかけづくりができたらいいなと思っ ています。そのためには、自分が何をするた めに存在しているのか、根底的なことを自ら に問い続け、走りながら考えていきたいで す。とにかく全力で走っていたら、道が拓け ていた。そんな人になれたらいいですね。 ランチやコーヒーブレイクにも気軽に使えるキッチンエ リアも用意されている。 VOL.28 | SEPTEMBER 2018

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