THEATER[劇場・ホール]IHIステージアラウンド東京

360°回転する円形客席が生む、新感覚の劇場体験

IHIステージアラウンド東京2020年に向けて開発が進む東京・豊洲にオープン。「ステージアラウンド」システムは、全世界のエンターテインメント界が注目する中、オランダ以外では日本が初導入となった。杮落とし公演は劇団☆新感線の『髑髏城(どくろじょう)の七人』で、2か月で11万人を動員。

空間全体が演出に包み込まれる世界注目の劇場システム

2017年3月、東京・豊洲に誕生した「IHIステージアラウンド東京」は、放送事業などを展開するTBSテレビが運営する今話題の劇場だ。その最大の特徴は360°回転する観客席。大きな箱の中央に直径約33mの円形の客席エリアを設け、それをぐるりと取り囲むように舞台が広がっている。客席はすべて回転式の巨大な円盤(通称ターンテーブル)上にあり、上演中の様々なシーンで客席全体が回るのだ。客席と舞台との間には幅3mの円状の花道と、高さ8mの巨大スクリーン4枚が設けられ、このスクリーンの開閉によって観客の前に様々な舞台が現れる仕組み。同劇場のテクニカルプロデューサーであるTBSテレビ・事業局の中村太郎氏は「複数の大掛かりなセットを予め組んでおけるため、スピーディに途切れることなく場面転換ができます。さらにスクリーンに投影する映像と客席の動きを連動させることで、演出の可能性は無限に広がります」と語る。

IHIステージアラウンド東京 回転する客席エリア周囲を舞台に囲まれた、360°回転する客席エリア。前方と後方で約6mの高低差があり、最後方に音響・照明のコントロールブースがある。日本の厳しい建築基準に合わせた通路幅を確保するため、省スペースかつ快適性をもった、コンパクトな肘掛けのホールイスを特注。


ターンテーブルはモーター付きの巨大な車輪17組によって回転。移動や速度はコンピューターシステムによって調整される。この「ステージアラウンド」の機構は、2010年、オランダ・アムステルダム郊外の旧飛行機格納庫内につくられた劇場で生まれた。IHIステージアラウンド東京では、基本はオランダのコンセプトを踏襲しながら、今回求められる劇場スペックや日本の建築基準のもと、構造体や設備を日本で設計し直し、オランダで製造。ターンテーブルの回転速度は日本の方が早く、人の早歩き程の速さが出る。また一部の音響は、客席の位置情報を信号で受け自動で音量調整を行うなど、様々な最新技術が随所に盛り込まれた。
中村氏は「座る位置によって体感速度も変わります。ここでしか体験できない『没入型』エンターテインメントを提供し続けたい」と意気込む。これからどのような新しい舞台が生まれるか、期待が高まる。

IHIステージアラウンド東京

IHIステージアラウンド東京

IHIステージアラウンド東京

IHIステージアラウンド東京

IHIステージアラウンド東京 演出に合わせて様々な規模でシーン分けすることが可能

左右に配置されたスクリーンが閉じ、客席がゆっくりと回転、再びスクリーンが開くと全く違う景色が広がる。舞台は演出に合わせて様々な規模でシーン分けすることが可能で、時には役者が花道へ出て、観客の回転にあわせながら、次のシーンへ向かって歩く演出も。スクリーンに映し出された疾走感あふれる映像が、回転する客席の臨場感を増幅させる。

DATA

所在地
東京都江東区豊洲6-4-25
開場
2017年3月30日
敷地面積
約1万41m2
建築面積
約5115m2
延床面積
約5680m2
客席数
1324席(車イス席4席を含む)
設計・施工
TSP太陽
  • bp vol.24掲載(2017.08発行)