オカムラ 木の技術Woodworking

スギ・ヒノキを使いこなすための

オカムラ 木の技術

スギやヒノキは日本で最も多く植林されていますが、柔らかく乾燥による変形が大きいため、家具用材にはほとんど使われてきませんでした。しかしオカムラ・日本の木プロジェクトではこの課題を乗り越えて、スギとヒノキを家具用に使いこなす技術を開発しました。オカムラは日本を代表する木の可能性を拡げていきます。

乾燥技術

スギ・ヒノキの含水率は生木の場合50〜200%もあります。実に木の繊維成分の0.5〜2倍の重さの水分を含んでいるのです。建築用材として一般流通している材は人工乾燥により12~15%程度にしていますが、この材で家具を製作した場合特に冬場の湿度が低い気密性の高いビル等では収縮による反りや割れによる変形が生じやすくなります。オカムラが基準とする含水率は6%。事前乾燥を施しある程度均一化された材の中からサンプルを選び材に直接センサーを打ち込みリアルタイムで含水率を計測しながら、蒸気や温度を変え乾燥させます。家具用1次乾燥終了後養生を行い再び乾燥機へ。養生後、マイクロ波式含水率計で材1本につき1000ヶ所以上計測。材1本1本の隅々までの含水率を徹底的に管理し幅矧ぎ板を構成する含水率の差を極力抑えることで極めて安定性が高い家具用材へと仕立てていきます。

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センサーにより含水率の変化をリアルタイムで計測

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左:高畠事業所の乾燥窯
右:含水率6%を基準とし家具用材へと仕上げます

反り止め加工 ※特許出願中

乾燥収縮による変形が一番懸念されるのが板幅の広い、テーブルや机などの天板です。そのような反りを抑えるため、量産家具ではパーティクルボードやMDFの補強材として使われるL型やハット型の金物を天板裏にビス留めするのが一般的な方法ですが、材自体が収縮し捻じれる無垢材においてはビスだけでは必ずしも抑える力が足りず、反りが出ることがあります。それほど木材の変形力は強いものです。そこで日本の伝統木工技術で使われる、蟻溝を掘った蟻桟の構造を採用しました。蟻溝とは、奥が幅広の溝でそこにピッタリ嵌まる桟を入れると抜けずに固定されるものです。オカムラでは蟻溝に挿入する桟を金属で加工した反り止め金具を開発しました。幅矧ぎ材を横断する方向に入れた蟻溝を反り止め金具が横断して固定。ビスは収縮しろを持ち、嵌まり込んだ金具全体が天板の変形を受け止めるという優れたメカニズムがあるのです。

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2種類の反り止め金具(特許出願中)

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標準タイプ

反り止め金物は蟻溝に嵌合する形状に曲げた鋼材で、ビスを打つ間隔も広くて済み、木材を引き付けながらも、わずかな伸縮を許容できる接合を可能にしている

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高強度タイプ

より強度が必要な場合は、同様に蟻溝を入れ、無垢材をL型鋼で挟んだT字型の補強材を取り付ける。金物の背幅が大きい分、反り止めの強度が高い。ビスによる締め付けが不要で、鋼材の強度と嵌合性も高まる

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高硬度塗装

スギやヒノキは柔らかく、家具として使用する場合には表面の傷や打痕が敬遠されていました。そこでオカムラでは表面の硬度と耐衝撃性が上がる、高硬度塗料を開発しました。塗料の材質はウレタン系。紫外線で硬化する性質を持ち、より高い硬度と粘りのある耐衝撃性を実現し、塗装工程の時間短縮も図っています。こだわりは硬度だけではありません。塗膜を厚くし木の表面を覆ってしまえば性能は上がりますが、木としての質感は失われていきます。オカムラ・日本の木プロジェクトでは、性能面だけではなく木の質感や風合いも大切にした塗膜を感じさせない『オイル仕上げ風塗装』や無塗装の様に見える『白木風塗装』の開発にも成功しました。

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