加速する変化に企業文化の追い風
一人ひとりが考え、次のステップへ
現在のオカムラでは、新たな取り組みは始まっていますか。
2019年4月からは、新たに「WiL-BE 推進委員会」「Team WiL-BE」を編成し、今まで行ってきた活動を4つのアクション(活動)として整理しました。そして、それぞれのアクションごとにミッションと目標を設定したうえで具体的な施策を展開し、活動をしています。まず1つ目は、Work Ruleアクション。「はたらく」を考える上で最も大事な“人”を支える人事制度の改革とその運用促進に取り組んでいます。2つ目は、Human Developmentアクション。実際に行動していく“人”を育てる役割を人財開発部が担い、人材育成、モチベーションアップを具体的な施策として展開しています。3つ目は、Work Smartアクション。ICTやツールで業務の省力化と増力化を実現する役割を業務改革部と情報システム部が担っています。最後に、Work Placeアクション。働く環境を整え、効率と創造を高める「場」を生み出す取り組みを、ワークスタイルソリューション部が担当しています。
新たに4つのアクションを編成してからは、プロジェクトに関わる私自身が驚くほど活動が加速し、会社の中が変わってきていると感じています。このスピード感を持って取り組むことも、「改革」においてはとても重要だと考えています。
具体的な変化や社内の反応はありましたか?
特に制度の部分で変化を感じています。在宅勤務など多様な働き方を取り入れるために、何をしていくべきかということは早い段階から議論していました。例えば、フレックスタイム制は以前からあったのですが、コアタイムが長く使い勝手があまり良くないという声もあったんです。オカムラでは有給休暇が年間40日取得可能なのですが、子どもを持つ従業員は、子どもの急な発熱や病気で有給休暇を使わざるを得ず、人によっては子どもの病気の対応のみで全部使い切ってしまう、という従業員もいたり。そこで、新しいフレックスタイム制を導入しコアタイムをなくすことで、さまざまな状況に柔軟に対応できるように仕組みを整理。そうすることで、「有休を全部使いきらなくてもよくなった」という嬉しい声も増えました。
他にも、「早帰り宣言カード」を導入したことによる変化は出てきているようです。例えば「今日は19時に帰る」というカードを掲げた社員が、19時を過ぎても残っていたら、管理職自ら「今日やらなくてはならない業務なのか?誰かに仕事を引き継げないのか?」という声を積極的にかけてくれるようになりました。管理職の熱心な取り組みにより、部署内でのコミュニケーションが増え、助け合いが生まれています。
ここまで変化が加速しているのには、何か理由があるのでしょうか。
理由として、会社本来の文化はあると思います。オカムラには元々「まずはやってみよう」という懐の深い文化があると思います。「やってみてダメだったら、またそこで考えて改善していけばいい」という考えで取り組みやすさが生まれているのは事実です。私自身、各アクションのリーダーたちとの会話の中で、新しい取り組みについて提案をすると「とにかくやってみよう」という声をかけてもらえ、心強く思っています。また、それぞれの自主性に任せているというのも特徴かもしれません。活動が加速した際に、現場のさまざまなところから声が上がり、アクションが活発化するということは、一人ひとりの取り組みに対して自主性に任せるという文化が背景にあるからだと思います。
そしてもう一つは、社会のニーズです。前回もお話しした通り、「働く場」を創造するオカムラにとって、お客様に提案できる土壌が社内で出来上がるというのはとても良いことです。2016年ごろから社会的にもイノベーションを創出していこう、働き方を考えようという流れが生まれています。その社会のニーズを受け、オカムラが取り組みを実践していくことで、企業として強みを生み出していくということにもつながっています。
新たに見えてきた課題や、次なる目標はありますか。
社内でも現場でさまざまなトライアルができる環境は十分に整ってきたと感じます。しかし、全社的に見渡すと、働き方に対する意識はまだ個人差があるように感じています。「働き方改革」は、会社がやっていることととらえられがちです。取り組みの副次的な効果である「早帰り」も、早く帰るということを会社が強いていると誤解されてしまう部分もありますが、業務を効率化することで、その人自身が自分自身の人生について考える時間をつくるという流れは、みなさん一人ひとりにとって、良い機会になるのではないでしょうか。
WiL-BEの取り組みは、3年間でとにかくやりきる!ということを目標にスタートをしています。この3年を終える頃には、すべての従業員がそれぞれに「はたらく」を考え、行動し、「人生」を充実させるための一歩を歩み出している、そのような変化を感じてもらえるようにするというのが今後の目標です。