Wil BE

4 Action Interview

「Team WiL-BE」編成から1年、
現場のいまとこれから
- #02 Work Rule -

Work Rule

人財開発部 人財開発課 課長 兼 D&I推進室 室長
望月 浩代(Mochizuki Hiroyo)
写真右

人財開発部 D&I推進室
安藤 絵里子(Ando Eriko)
写真左

「Human Development」「Work Rule」「Work Smart」「Work Place」の4つのアクションから成り立っているTeam WiL-BE。2019年4月に編成し、約1年に渡り活動を進めてきました。
第二弾となる今回は、働く “人”を支える人事制度や規則、その運用と定着に取り組んでいる「Work Rule」アクションを担当する人事部(取材当時の所属。現在はともに人財開発部へ異動)の望月 浩代氏と安藤 絵里子氏お二人にインタビュー。1年で見えてきた成果や課題、これから取り組むべきこととは?

○WiL-BE ・・・オカムラが推進する働き方改革の名称。自分らしくLifeを楽しむために、いきいきと働く人でいっぱいの職場をつくっていくための活動
○Team WiL-BE・・・2019年4月に再編されたオカムラの働き方改革を推進する事務局の名称。
○D&I(ダイバーシティ&インクルージョン)
・・・ダイバーシティとは?ー多様な人材がいる状態。
・・・インクルージョンとは?ー多様な人材が、お互いを理解し、認め合い、活かされ、組織に関われている状態。

参考文献:Shore, L.M., Cleveland, J.N., & Sanchez, D.(2018). Inclusive workplaces: A review and model. Human Resource Management Review, 28, 176-189. Roberson, Q., Ryan, A. M., & Ragins, B.R.(2017). The evolution and future of diversity at work. Journal of Applied Psychology, 102, 483-499.

オカムラ「D&I宣言」:
私たちが関わるすべての人と、それぞれの違いや個性を認めあい、活かしあいます。一人ひとりの強みを存分に発揮し、いきいきと働けるオカムラを創ります。

業務効率化と意識改革
さまざまなアクションに取り組む日々

「Team WiL-BE」となる以前から、オカムラでは現場発の「カエル!活動」や「ソダテルプロジェクト」を実践してきました。全社プロジェクトとなって1年、お二人はどんな関わり方をされてきましたか?

望月:人事部では「Work Rule」アクションを担当しています。さまざまなアクションの中でも「カエル!活動」と「ソダテルプロジェクト」の2つがメインとなる活動です。

「カエル!活動」とは、拠点ごとで自分たちの働き方を自ら見直し、変えていく自主的な取り組みです。2016年に5拠点からスタートし、その後「カエル!プロジェクト」として多くの拠点で展開してきました。2019年からは、WiL-BE「Work Rule」の取り組みの一環として再編し、現在は「カエル!活動」として、全社での改善活動に拡大しています。次に、「ソダテルプロジェクト」は、2016年から始まったダイバーシティ推進のための社内プロジェクトです。こちらも2019年から「Work Rule」の取り組みの一つとなりました。

私自身は「ソダテルプロジェクト」の立ち上げから関わっており、仕事と育児・介護の両立支援や柔軟な働き方の推進を行っています。「カエル!活動」も同様に2019年度から全社対応の活動となりましたので、こちらも事務局として担当することになったというのが経緯です。

安藤:私は2019年3月から異動に伴って担当することになりました。それまでは、個人的にダイバーシティの取り組みに興味があったので、「ソダテルプロジェクト」に注目していましたが、直接WiL-BEに関わる機会はなく、正直「何かやっているな」というぐらいの感覚でした。関わり始めた当初は、手探り状態でしたね。

業務効率化を通して、働きやすくするための制度づくりを担っている「Work Rule」アクションですが、具体的にはどのような取り組みをしてきたのでしょうか。

望月:「カエル!活動」と「ソダテルプロジェクト」の推進に関して、この1年でそれぞれ活動目的を明確にして、具体的に取り組みを進めてきました。

「カエル!活動」は、職場単位で業務の効率化と生産性を向上させることが目的です。そのためにまずは、職場単位で課題解決のための取り組みを進めています。そして、その中から全社で取り組む必要があるものを全社施策として展開します。具体的に、4つの取り組みを全社規模で実施してきました。
1つ目は、会議時間短縮の推進です。会議時間やその内容を精査するためのフォーマットを作成し、現場で活用してもらっています。
2つ目は「早帰り宣言カード」の採用です。各自が帰宅時間を設定し、自席にカードを掲げるという取り組みです。意識の改革やコミュニケーションの活性化を目指しています。
3つ目が、office365のコミュニケーションツール「Teams」の活用推進です。遠隔会議やチームへの情報共有を一斉発信することで、業務の効率化を担っています。
最後4つ目に、メール署名設定の実施を推進しています。メール署名欄に定時の勤務時間、ノー残業デーの記載を入れることで、社外への取り組み周知に繋げています。

安藤:「ソダテルプロジェクト」に関しては、D&I(ダイバーシティ&インクルージョン)の考え方に基づいて、誰もが互いに認め合い受け入れて、違いを活かして力を発揮できるような環境づくりに取り組んでいます。
例えば、とある部署ではこれまで部署に届いた郵便物の配布を女性社員が担当しがちでした。ですが、これはD&Iの視点で考えてみるとなんとなく“慣例的”に行われてきたというだけで、本来は誰が担当してもよい業務だと思います。このような「なぜ?」という疑問をみんなで議論し、改善案を導き出していくというのも活動のひとつです。

望月:これらの活動は基本的には拠点ごとに行っているので、定期的に活動内容を共有する報告会も開催しています。例えば「カエル!活動」では、全国の取り組みの中から一次選考を行い、選ばれた15チームが発表するなどアワード形式で表彰。優良な取り組みは、来期以降の全体施策として横展開していく流れもつくっています。

わたしたちにできることは、
あくまでも「きっかけ」をつくること

1年を振り返ってみて、いかがでしたか。まずは「カエル!活動」について教えてください。

望月:全社でという大規模な活動を推進するためには、まず体制づくりが大事だと痛感しました。現場で推進する担当の意欲や意識によって活動の進捗にばらつきが出てしまうというのはやはりあります。

安藤:そうですね。顕著に表れるのは発信量ですよね。やはり取り組みに成果が現れているチームは意見交換が盛んです。

望月:その裏にある課題として、すでに通常業務で手がいっぱいの人がチームのリーダーである場合、負荷がかかりすぎているのでは?という見方もあります。うまく進まないところに関しては、体制づくりから見直す必要があるかもしれません。

あとは継続していくことへの難しさもあります。年度末に活動報告会が終わったタイミングでは、どうしても各チーム一旦終息モードになってしまいます。報告会後に「この先どう活動していったらいいのか分からない」という相談も出てきます。この活動は全社をあげての業務。終わりというものはなく、継続して取り組み、やり方を浸透させて、より良く改善していかなければいけません。リーダーたちのモチベーションを上げるなど、これからもしっかりとケアしていけたらと考えています。

「カエル!活動」が「Work Rule」のアクションに切り替わってから、社内で見られた変化や活用事例はありましたか?

「カエル!活動」が「Work Rule」のアクションに切り替わってから、社内で見られた変化や活用事例はありましたか?

望月:良い変化としてあげられるのは、社内のコミュニケーションが活発になったことです。例えば、「早帰り宣言カード」を全社で導入したことで、拠点内での声がけや会話のきっかけにつながりました。拠点ごとの独自の工夫を盛り込んだり、宣言カードから生まれる拠点内外のコミュニケーションが、仕事のしやすさにもつながっていると感じます。

全社で導入している「早帰り宣言カード」

「カエル!活動」が「Work Rule」のアクションに切り替わってから、社内で見られた変化や活用事例はありましたか?

望月:良い変化としてあげられるのは、社内のコミュニケーションが活発になったことです。例えば、「早帰り宣言カード」を全社で導入したことで、拠点内での声がけや会話のきっかけにつながりました。拠点ごとの独自の工夫を盛り込んだり、宣言カードから生まれる拠点内外のコミュニケーションが、仕事のしやすさにもつながっていると感じます。

全社で導入している「早帰り宣言カード」

安藤:「カエル!活動」事務局として、私たちはあくまでも「きっかけ」をつくるポジションにすぎません。取り組みの雛形は共有しますが、各拠点のみなさんが各々に考え、やりやすい形で運用していく。多様な取り組みの形があっていいと思います。例えば全社施策の1つにメールの署名欄に勤務時間を記載する取り組みがあるという話が出ましたが、これは社外に対して勤務時間を明示することで、業務時間外の活動を減らすという目的があります。
この署名欄に、これから育児休暇を取得予定の男性従業員で「○月○日~○月○日まで育児休暇取得予定です」と記載している人がいました。これはとても良い応用法だと思いますし、今後も性別問わずどんどん活用していってもらいたいです。

会社の意識改革の中で
自分もチームも「変わった」

先ほど、「カエル!活動」では社内で徐々に浸透や活用が自発的に行われ、変化が見えてきたとお話しがありましたが、「ソダテルプロジェクト」についてはいかがでしょうか。またお二人ご自身についても変化や気づきはありましたか?

望月:「こうしたい」「やってみたい」という思いを「実現できる」に変えられる。これは、大きな気づきでした。そのきっかけとなったのは、「ソダテルプロジェクト」が編成されて間もない頃企画した女性向けのワークショップです。オカムラは全従業員の中で女性比率が2割ほど(約500名)ですが、大規模ワークショップの実施は前例がありませんでした。「本当に開催できるのか?」という心配の声もありましたが、結果的に80名規模のワークショップを全6回開催することができました。プロジェクト編成後初となる大きな企画を実現できたことは、自信にもつながりました。この体験以降プロジェクトの中心メンバー内でも一体感が生まれ、「こんなことや、あんなこともできるのでは?」とチーム全体でもポジティブな思考が高まりました。

安藤:私個人で言えば、活動を通して考え方が大きく変化しました。これまでの仕事は自分の中でアイデアを出し、まとめて完結するということが多かったように感じています。ですが、「ソダテルプロジェクト」を始めとしたWiL-BEのアクションを進めていくと、部署の壁を越えていろんな方が活発に意見を出し合っている、そして何よりも受け入れて認め合っていることが新鮮でした。

安藤:私個人で言えば、活動を通して考え方が大きく変化しました。これまでの仕事は自分の中でアイデアを出し、まとめて完結するということが多かったように感じています。ですが、「ソダテルプロジェクト」を始めとしたWiL-BEのアクションを進めていくと、部署の壁を越えていろんな方が活発に意見を出し合っている、そして何よりも受け入れて認め合っていることが新鮮でした。

お子さんのいる人やいない人、介護をしている人などさまざまな人が意見を持ち寄れば、「1+1=2」ではなく「1+1=3」にもなるんだ!と、三人寄れば文殊の知恵という言葉を実感しました。ダイバーシティ活動に関わる私自身が、ダイバーシティの価値を実感し、その実現性を強く信じられるようになりました。

望月:確かにそうですね。「ソダテルプロジェクト」の定例ミーティングは、本当に意見交換が活発で毎回時間が足りませんでした(笑)。事業部や職種の違うたくさんの人が、それぞれのバックグラウンドを持ち、そして能力を発揮できるというのもこのチームならではの特徴です。自分だけではできないことも、全員の力を最大限に発揮すれば実現できるという強い思いが大切だと感じました。

来期のキーワードは「自分ごと化」
そのためにも、まずは巻き込んでいく

「Work Rule」アクションは「きっかけづくり」というお話しがありましたが、次のフェーズである浸透を進めていくために、大切にしていることはありますか。

望月:何かを進めていく際に、必ずチームメンバー全員が役割を担うということは意識しています。ワークショップ一つとってもそうですが、他人ごとではなく自分ごと化するためにも、司会やファシリテーター、受付など、全員に必ず何かに関わってもらうようにしています。

プロジェクトに関わることで、自分たちが変えていくんだ!という意識が芽生えます。そして今度はその人たちが主体となって情報を発信していきます。「Work Rule」を浸透させるという意味では、一人でも多くの人を巻き込んでいくことが大切だと思っています。

安藤:“巻き込んでいく”という上で事務局はいつでもオープンな状態でありたいです。「カエル!活動」や「ソダテルプロジェクト」の担当者内だけですべての施策を行うのではなく、より多くの人が参加しやすい環境をつくっていくのも私たちの進めていくべき部分なのかもしれません。

「ソダテルプロジェクト」メンバーとともに

今後は全社への浸透と定着が鍵となってくると思いますが、課題や今後の取り組みについて教えてください。

望月:例えば「カエル!活動」に関しては、アクションに対して「どこまでやるのか」という目標やテーマを具体的に示していきたいです。みんなが思い思いに動くよりは、進むべき方向性が見えた方がより具体的に向かっていけると思いますから。

安藤:活動に関して地域差が出てこないようにすることも課題ですね。これまでの活動に関する資料はオンライン上で共有していますので、知りたいという人はどんどん情報を取得できる環境にあります。実際に、地方にある生産拠点の「カエル!活動」リーダーでとても熱心な人が自ら情報をキャッチして、自身で工場のみなさんに配信してくれているという例もあります。

また時には、私たちが活動情報を受ける側の気持ちになってみるということも大切。今後は例えば活動拠点の現場に実際行ってみるというのも一つの解決策かも知れません。みなさん「うちは大したことしていないよ」と言うのですが、案外発信してみると周囲の人は目から鱗といったユニークな活動をしているところはたくさんあります。私たちがそういった部分にスポットを当てていくというのも今後のやるべきことだと考えています。

望月「カエル!活動」と「ソダテルプロジェクト」だけに限らず、すべてのアクションに言えることですが、できるだけ多くの人を巻き込み、自分ごと化してもらうというのは非常に大切です。そのためにも、まずは自分たちで考えてもらえるように進めていく必要があります。私たちは各アクション担当の事務局として動くのはもちろんですが、みなさんの考えや活動を受け止め寄り添いつつ、それぞれが何をするか考えてもらえるようにできればと思っています。

WiL-BE COLUMN
-あなたの考える「Work in Life」とは?-

「WiL-BE」を推進していく上で、オカムラが提唱する理念「Work in Life」はとても重要です。仕事も、家族や友人、趣味、休み、健康など学びと同じように自分の人生の中の一つとして捉えていくという考え方は、自分らしい働き方、そして生き方に通じています。ここでは、各アクション担当者にご自身の「Work in Life」について伺います。現在のLifeとWorkの割合、そして理想とする割合についてどのように考えていますか?

※本来のWork in Lifeの考え方ではWork は Lifeの中の1つと捉えますが、ここでは分かりやすくするため、Lifeの中のWork 以外を Life として表しグラフにしています。

望月’s VOICE

私は現時点でLifeの部分にWorkが食い込んでいます。どうしてもプライベートの時間の中でふと仕事のことを思い出してメモを書き留めたりなど、Lifeの中にWorkが常に入ってきていると感じています。これまで働いてきて、癖になってしまっている部分ではあると思うのですが、今後はもっとオンとオフをあえて切り替えメリハリをつけて、Lifeもより充実させていきたいです。

安藤’s VOICE

現状ではWorkが半分、趣味や家族との時間などLifeが4割、残りの1割が曖昧領域という感じです。例えば、趣味の裏千家茶道の時間に仕事に通じることを思考するなどというのが曖昧な時間かなと。私は望月さんとは逆に、自分が興味のあることを仕事にすることが幸せなのだと感じています。つまり、WorkとLifeの境目がないのが理想です。幸いなことに、今大勢の人と関わり、知見が得られているのでこのベースは変えずに、理想の状態に近づけると良いと思っています。

※2020年3月3日 取材

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