TRANSPORT[交通・輸送]京成スカイライナー

新時代を見据えた客室空間

京成スカイライナー

「風」と「凛」がコンセプト

京成電鉄が、京成上野駅・成田空港駅間で運行している「スカイライナー」の新型車両が昨年7月より営業運転を開始した。新たに北総線と新線からなる「成田スカイアクセス」を経由し、都心から最短36分という利便性の高さをうたう。

アクセスの向上もさることながら、注目されているのは導入された新型車両(2代目AE形)。車両の外観、内装のデザインを山本寛斎氏が務め、外観は「風」、内装を「凛」というコンセプトのもと、フラッグシップモデルにふさわしい存在感を示している。シャープなフォルムを持つ純白のボディと、日本の伝統色、藍色をアレンジしたメタリックブルーのラインが、風の勢いと流れを感じさせる。

一方、客室は、やはりブルーを基調に、ガラス素材やアルミを用い、「凛」という言葉から想像させる清々しさや引き締まった印象を与える。特徴的なシートは、アルミを多用しており、一体成型によるシームレスなシェイプがこれまでの車両デザインとは一線を画す。また、川島織物セルコンによるポリエステルの布製バネ、「バネックスR 」の採用でクッション性を確保しつつ、シート自体の軽量化も図られた。

京成スカイライナー 上/高さのあるドーム型天井は、柔らかな温白色の間接照明とともに快適性に寄与する。足元の基台部分に電源コンセントが各席一つずつ用意されている。
右/シートピッチは1050mmに拡大された。快適性や耐久性を確保しながら、アルミのフレームによる肉薄なシート構造を実現している。床のデザインは市松模様から派生させ、「波」を表現している。

京成スカイライナー

世界と日本をつなぐ“空間”

シートの開発・製作にあたった岡村製作所では、小田急ロマンスカー「VSE」、「MSE」に次いで、特急車両に携わるのは三度目。

得意分野とするオフィスファニチュアと違って、絶えず移動を続ける車両用のシートは、耐久性や快適性、メンテナンスなどの考え方が全く違ってくる。ちなみに新型スカイライナーは、新幹線を除く日本の営業車両の中では、最速の最高時速160kmを誇る。そういった過酷な環境に耐え得るもので、かつデザインや機能性でいかに新しい試みができるか。山本氏の監修のもと、試行錯誤が繰り返されたという。特に、シートバックの通路側に設けられた手すりのデザインは検討を重ね、掴みやすさと意匠性で高次なバランスを図った。

スピードの向上という命題を背負って生まれた新型スカイライナーは、車両のデザインでもそれを体現している。

同時に、わずか40分の乗車時間において、国際空港へのゲートウェイ(もしくは世界から東京への最初の入り口)という体験をどのように作り出すか。インテリアへの作り込みには、日本と世界をつなぐ媒体(メディア)としての意気込みを感じさせる。

京成スカイライナー アルミ成型によるシート背面と手すり。研磨の上に塗装を施し、安全性にも最大限配慮されている。リクライニング時にも、背中合わせでシート同士が当たらない設計だ。

京成スカイライナー

京成スカイライナー

DATA

デザイン
山本寛斎(寛斎スーパースタジオ)
車両設計・製造
日本車輌製造 東急車輛製造
シート製造
岡村製作所 天龍工業
定員
398名/編成
  • bp vol.1掲載(2011.02発行)