THEATER[劇場・ホール]四季劇場 [夏]

コンテンツを最大限生かす劇場づくり

四季劇場[夏] 「四季劇場[夏]」のエントランス。大井町駅から徒歩5分の好立地だ。

演劇表現に最も適した空間を

2010年7月に劇団四季の9番目の専用劇場としてオープンした「四季劇場[夏]」。品川・大井町駅より徒歩5分という立地の都市型施設だ。岡村製作所では「JR東日本アートセンター四季劇場[春]・[秋]」以来、13年に渡って専用劇場の客席イスを製作・納入している。

四季劇場[夏]

四季劇場[夏]


四季劇場の空間について、四季株式会社の代表取締役会長・佐々木典夫氏に話を聞いた。

創立58年になる劇団四季が、専用劇場を設けるようになったのは、1983年、西新宿にできた日本初のミュージカル用仮設劇場「キャッツシアター」が始まり。ロンドン、ニューヨークに次いで公演された東京でも、圧倒的なコンテンツの強さを見せた「キャッツ」は1年というロングラン上演となった。

「既存の劇場ではとてもできなかった」と佐々木氏は話す。「キャッツ」は記録的な興行実績を残し、以来、「演劇表現に最適な空間」を掲げ、「機材は固定化しない」「余計なものは付加しない」など、あくまでもソフト中心の、フレキシビリティーの高い劇場づくりが目指されている。

また、四季劇場では、舞台と客席をできる限り近づけている。演劇に特化した設計のため、間口も通常のホールより狭く、逆に奥行きや高さがある。結果、キャパシティーは限られてしまうが、観客の感動体験を高め、リピーターを増やしていくことになる。

設立当時の戦後まだ間もない中、現代演劇を社会運動になぞらえる側面があった。しかし、「演劇は純粋な芸術運動として展開されるべきであると考え」(佐々木氏)、スタートした四季は、経済的条件を整え、演劇で自立することを第一の理念としていた。そのためにお客様が喜んで来てもらえる環境を整える、それがソフト重視の劇場づくりにつながっている。

四季劇場[夏]

四季劇場[夏]左/劇場内部。客席は舞台とできる限り近くなるような設計だ。1階は最も離れた客席で21m、2階でも最前列までは13mになる。客席は、背の小さな子供でも楽しめるように、6種類のシートクッションが用意されている。また最近では一般的になった「親子観劇室」(小さい子が泣いてしまったりしたときのガラス張りの別部屋)も四季が始めたものだ。
上/[夏]のロビーホワイエ。


また「東京だけに集中するのではなく、全国でも同じ舞台を観ていただく」。それがもう一つの四季の理念であった。それも、「パワーのあるコンテンツが生かされれば、マーケットを掘り起こしてくれる」(佐々木氏)。現在、四季の各劇場が立地するのは元々「キャッツ」が巡演された都市だ。劇場は地域とともにつくってきた。全国各地で子供たちを招待する「こころの劇場」プロジェクトなど、地域とのコミュニケーションにも努めてきた。

「演劇が市民社会に不可欠なものとして定着し、多くの人々に観ていただくことが目標です。そのために最適な劇場空間でありたいと思っています」と佐々木氏は話す。



北海道四季劇場北海道四季劇場
札幌市中央区に、2011年3月オープン。札幌駅ビルの再開発で1999年に閉館した「JRシアター」を引き継いで生まれた専用劇場。

北海道四季劇場北海道四季劇場
客席数は994席。

DATA

所在地
東京都品川区広町2丁目1-18
敷地面積
約7526m2
延床面積
約4998m2
設計・施工
清水建設
  • bp vol.2掲載(2011.05発行)