OFFICE[オフィス]株式会社丹青社 本社オフィス

プラットフォームでの交流が、人の力を高めるオフィス

丹青社執務エリアは、白と黒のモノトーンがベース。フリーアドレスエリアには、さまざまな形の机が並べられ、好きな場所を選んで仕事を行うことができる。

社内外のクリエイティブが出会いながら刺激を与える場

「こころを動かす空間創造のプロフェッショナル」として、店舗などの商業空間、博物館などの文化空間、展示会をはじめとするイベント空間など、あらゆる空間づくりを行っている株式会社丹青社。その本社オフィスが、長年親しんだ創業の地である上野から、東京の玄関口として進化を続ける品川へと移転した。古くから宿場として栄え、アクセスに恵まれた品川には、ヒト、モノ、コト、情報が集まる。そうした場所で、有形・無形のリソースが行き交うプラットフォームづくりをめざした。
新しい複合オフィスビルである「品川シーズンテラス」の19Fの全フロアと20Fの一部に入居。ワンフロア1,500坪という広大なオフィスに、これまで分散していた事業部門を集約した。そして2015年9月、業務の効率性と創造性を向上させながら、さらなる成長と提供価値アップをめざす「Re・START」が行われた。

丹青社「クリエイティブミーツ」と呼ばれる、内外のクリエイティブが出会う場として設置された、新しいオフィスを象徴する空間。印象的な「ビッグテーブル」が中央に置かれ、社内外のさまざまな交流が展開される。

丹青社「クリエイティブミーツ」の奥にあるライブラリーコーナー。


丹青社「クリエイティブミーツ」に隣接して設けられたガラス張りのレセプションルーム。

丹青社エントランスから続く空間には、東京大学との産学連携プロジェクトである「モバイルミュージアム」があり、東京大学総合研究博物館の貴重な標本が展示されている。


新しいオフィスのテーマは「未来創造拠点」。ここで、ワークプレイスの刷新とともに、これまでのワークスタイルを変革する。多様な人材が働きやすく、さらに能力を発揮するための場が創造された。新たなオフィスの顔となるのは、「クリエイティブミーツ」と呼ばれる、エントランスに隣接した大きなガラス張りのコミュニケーション空間である。ここは、社内外のクリエイティブが出会う場であり、人と人とのコミュニケーションの舞台。さらには出会いそのものをディスプレイするショーケースでもある。同社の仕事は一人ひとりの人材と、それぞれが持つ能力で成り立っている。だからこそ、新たなコラボレーションが生み出される環境をつくることで、それが融合し、増幅し、大きな力となって更なる「こころを動かす空間をつくりあげる」ことを狙った。
「クリエイティブミーツ」では、さまざまなイベントが企画されている。会社の垣根を越えたクリエイターが集うセミナーやジャムセッション、バーテンダーを招いたカクテルパーティーなども開催。社外の人々の関係の中で、社員の新たな表情も見えてきている。すでにその効果は大きいようだ。

丹青社フロアの四隅にはコミュニケーションコーナーが設けられ、仕事のONにもOFFにも利用されている。ここは駅が見えるので「EKI」と呼ばれるコーナー。大画面モニタがあり、打ち合わせやプレゼンテーションのリハーサルにも使える。

丹青社執務エリアの窓に沿って四方を囲む「コリドー」と呼ばれるコミュニケーション空間では、会話を楽しみながらランチを取る光景も見られる。

目的や気分に合わせながら最適な場を選べる多様性

執務エリアに目を移すと、オープンなメガフロアが広がっている。ここでの部門を越えた交流を通して、情報やノウハウを交換。新しいアイデアや発想、新しい知識や視点を生み出そうとしている。そのためにも、業務の目的や気分に合わせて最適な場を選択できる、多様なワークプレイスとなっている。
いつでも気軽に打ち合わせのできる回廊「コリドー」は特徴的だ。執務エリアの窓に沿って四方を囲む連続した空間であり、社員のためのパブリックスペースである。また、そこには国内外のさまざまなデザイナーズ家具が置かれている。チームで気軽に打ち合わせをしたり、アットホームな雰囲気の中でランチを取ったり、使い方もさまざま。コミュニケーションの機能だけではなく、一人で集中できるブースなども設けられている。
さらにフロアの四隅には、リラックスしながら部門を越えてコミュニケーションの取れるコーナーを設けた。それぞれの窓から見える外の風景がコーナーの名前になり、「OKA」「HASHI」「EKI」「UMI」「NIWA」と名付けられている。

丹青社フリーアドレスのエリアには、さまざまな形のテーブルが設けられている。

執務エリアでは、今回はじめてフリーアドレスを導入している。同社の職種には営業・制作・デザイナー・プランナーなどがあるが、多くの人員を抱 える営業・制作の執務エリアは、統括部長・部長・課長も含めて全員がフリーアドレスだ。外出の多いワークスタイルに適応し、スペース効率を高めることもできる。このフリーアドレスのエリアには、5タイプのワークテーブルを用意。ロングテーブル、おにぎり型テーブル、ベンチテーブル、スクエアテーブル、上下昇降テーブルと、それぞれに特性のある席の中から選ぶことができる。また、デザイナーやプランナーは資料が多いため固定席を採用。商業系、チェーンストア系、文化空間系の3つの事業部のメンバーの席を集約し、各事業部の情報を交換しながら、新たな創造性を生み出そうとしている。事業部長や業務部も固定席となっており、社員とコミュニケーションを取りやすい場所に配置している。

丹青社執務エリアの窓側に設けられている、個人の集中ブース。フリーアドレスを導入しているため、集中できる空間も重要だと考えた。

丹青社立ち作業などにも対応できる上下昇降テーブル。

さまざまな専門の力を持ち寄り自分たちのために使う試み

本社移転プロジェクトがスタートしたのは、2014年9月。同社の4名のプリンシパル クリエイティブディレクターが、計画段階からコラボレーションを行った。そしてこの4名のデザインの下、新たなオフィスの創造が推進された。その中の一人洪恒夫(こうつねお)氏は、プロジェクトについてこう話す。「私たちが携わるのは、文化施設や商業施設、ホスピタリティー空間と多様です。それぞれの専門的スキルを生かし、これに対応してきました。しかし昨今は、従前の市場やジャンルを越えた施設づくりが求められるケースが増えています。新オフィスは、幅広い分野のクリエイターが近くに集まることで、クリエイティブのリソースを交換し、さまざまな化学反応を起こしやすくできると考えています」洪氏はさらにこう続ける。「私たちの生業は、お客さまや市場からのニーズやウォンツがあってスタートするもの。お客さまの課題解決のパートナーという意識が強くあります。そして各クライアントには、サービスを提供するエンドユーザーの存在があります。つまり、お客さま、エンドユーザー、課題解決のパートナーという三角関係があるわけです。今回のオフィスづくりが興味深かったのは、その三者がすべて自分たちだったということです。本プロジェクトは、自分たちの業務の縮図がいろんな立場から見えてきて、各々の実像を実感できた点において、とても勉強になりました」

丹青社「コリドー」では、気軽にできる簡単な打ち合わせから、じっくりと腰を据えた討議まで、幅広いコミュニケーションのシーンが見られる。

丹青社デザイナーやプランナーの執務エリア近くに設けられた、全社共用の「サンプルルーム」。協力会社がアクセス可能なセキュリティレベルに設定し、自社のサンプルを常に更新している。

丹青社「ガレージ」と呼ばれる、部門ごとにそれぞれが自由に使える多目的ルーム。歴史資料や辞典などの書籍も置かれ、必要な知識を得ることもできる。


オフィスの移転を、新たなワークスタイルやワークライフバランスの構築に向けた契機とも考えている。社員が働く場所・時間・やり方を選択できる、ワークスタイル多様化支援策を実施。2015年3月からは、在宅勤務を試験的に導入。同8月からはシフト勤務を全職種に適用拡大した。また、オフィス移転に合わせて全社員にスマートフォンを配布し、社外を含めて場所にとらわれずに仕事を進められる環境を整備している。社会とともに成長することも盛り込まれた同社の経営ビジョンは、しっかりとその花を咲かせようとしている。

丹青社左側はデザイナー・プランナーの執務エリア。窓側に沿って連続して設けられている空間が「コリドー」である。

丹青社執務エリア内に設けられた社内会議室。ランチミーティングなども行われている。


DATA

所在地
東京都港区港南1-2-70
品川シーズンテラス19・20F
オフィス対象面積
6,270.06m2
オフィス対象人員
約930名
インテリア竣工
2015年9月
デザイン監修・基本設計
丹青社
執務エリアの基本設計
岡村製作所
  • bp vol.21掲載(2016.03発行)