OFFICE[オフィス]沖縄セルラー電話株式会社 本社オフィス

顧客満足度を高めるために、社員満足度を高めるオフィス

沖縄セルラー電話 7Fの執務エリア窓側に設けられた、ガラス張りのリフレッシュコーナー。カラフルな家具が採用されている。オフィスは見通しがよく、6~8Fの執務エリアは内部階段でつながっているため、部門間の連携が強化されている。

「地元に全力」を注ぐため「社員の全員力」でオフィスを創造

沖縄の地域総合通信会社の創業へと歴史が動いたのは、1990年。沖縄の経済を発展させるために、沖縄と本土の経済団体が融合して「沖縄懇話会」が発足した。そして翌年の1991年、沖縄県の地元に特化した沖縄セルラー電話株式会社が設立された。現在、auブランドによる携帯電話で、県内トップシェアを誇っている。

分散していたオフィス、コールセンター、オペレーションセンターなどの施設を集約し、自社ビルを建設することは、長年の会社の悲願であった。2013年6月に新たな本社オフィスが竣工した場所は、地元の誰もが知る、由緒ある日本銀行那覇支店跡地。地元に密着し、「地元に全力」をキャッチフレーズとして掲げる企業が、地の利を得て新たな一歩を踏み出した。

沖縄セルラー電話建物はCASBEE(建築環境総合性能評価システム)で沖縄県初のSランク認証を取得。BEMSの活用、全館LED照明の採用など、省エネが推進されている。また、建物は災害時の那覇市の避難場所に指定されている。

沖縄セルラー電話
1Fエレベーターホールには、旧日本銀行那覇支店で使われていた金庫扉を展示。この土地に刻まれた歴史の記憶を残している。セキュリティゲート奥の壁には、宮古島で産出される「宮古トラバーチン」という良質な石が使われている。



新しいオフィスがめざしたのは、顧客満足度向上のために必要とされている社員満足度の向上と、ブランディング強化。そして、多様化するワークスタイルへの柔軟な対応。よりクリエイティブな働き方を推進するオフィスのコンセプトは、「自己変革の支援」「連携の強化」「調和の推進」「効率の追求」であった。全社員がオフィスづくりのプロジェクトに参加し、経営層にプレゼンテーションを行った。地元に全力を注ぐため、社員の全員力で創造したオフィスと言えるだろう。

移転を機に働き方を見直し、部門によってフリーアドレスを導入するなど、積極的な変化をめざしている。仕事によって働く場所を選択できるオフィスは、心理的にも物理的にも見通し・風通しがよく、部門間の壁をなくしたフラットな執務エリアにはユニバーサルプランを採用。フレキシブルな組織変更にも素早く対応できる。また、個人のデスク幅を1100Wとしながら、窓側のコミュニケーションスペースをはじめとする共有エリアの充実をはかり、コミュニケーションがさらに活性化した。

沖縄セルラー電話 7Fの営業職の執務エリアは、ほぼ固定席。視線を遮るものがなく、全体を見渡せる空間となっている。リーダー席以外はデスクワゴンがなく、個人の持ち物は各自のロッカーに収納。帰宅時にはクリーンデスクを徹底し、毎週月曜日には執務エリア内の拭き掃除を行っている。自分たちの手で掃除することによって、オフィスへの愛着が生まれる。

沖縄セルラー電話技術職の執務エリアにはフリーアドレスを導入。大型ベンチテーブルなどを採用し、プロジェクトワークにも対応した働きやすい環境となっている。

沖縄セルラー電話 7Fに設けられた立ち会議室。壁面ホワイトボードや大型モニタなどが打ち合わせをサポートしている。


沖縄セルラー電話執務エリアの窓側にはオープンなコミュニケーションスペースが設けられ、さまざまなタイプの家具やホワイトボードなどが用意されている。窓のブラインドは下から昇る「クライマーブラインド」であり、沖縄の強い日差しを効率的に遮ることができる。

 

月曜日が楽しくなる会社へと大きく前進するオフィス

新しいオフィスづくりについて、代表取締役社長の北川洋氏に尋ねた。「今まで分散していたオフィスが一つになり、やっと次のステップへ歩み出せたかなと思います。私たちの仕事は、人間がやることですから、人が快適に働けるような雰囲気をつくれば、結果もついて来るものだと考えています。ですから、できるだけ良い家具や、年月が経てば味が出てくる素材などを意図して導入しましたが、その良さが分かるのはおそらく使ってしばらくしてからでしょうね。でも、オフィスづくりの協力会社にオカムラさんを指名したのは、家具で選んだというわけではない。プレゼンテーションが、当社の考え方に合っていましたね。おそらく事前にいろいろ調べて提案してもらったのでしょう」

今回の重要なポイントは、「コミュニケーションの活性化」だったと北川社長は語る。「拠点を統合したことが、まず1つめの大きなポイント。2つめのポイントは、執務エリア内に内部階段を設けるなどして、部門間のコミュニケーション を緊密にしたことです。活発に会話のできる執務エリアにしたり、立ち会議室を設けたりしました。コミュニケーションスペースは、欧米のオフィスに多く見られるように、家具の色を変えて執務エリアとは異なる雰囲気にしています。3つめのポイントは、食堂ですね。ここはさらに、部門間の交流さえも越える場所。全然違う職種の人が隣に座ることで、ブレイクスルーのコミュニケーションが生まれます。そういう3段階のポイントで、会社に一体感が醸成できたらいいなと考えていました」

沖縄セルラー電話 6Fにはさまざまなタイプの社内用会議室が設けられ、それぞれの部屋には同社オリジナルのキャラクターである「auシカ!」ファミリーの名前が付けられ、ブランディングがなされている。可動式の家具を自由に動かしながら、用途に合わせて使い分けることができる。

沖縄セルラー電話ヤギの子どものキャラクターの名前が付いている「ジャー子ルーム」。ホワイトボード仕様の壁が会議をサポートしている。会議の様子を外から眺めることができるため、自然に情報を共有できる。



北川社長は、社員がお互いに気遣いながら協力し合える「人財」を育てる会社をめざし、さまざまな改革を進めている。「オフィスに来るのが家に居る以上に楽しくなる・・・月曜日が楽しくなる会社を標榜していますが、まだまだこれからの部分も多いですね。私たちKDDIグループでは、いろんな物事に対して傍観者になるのではなく、自分のこととして捉える『ジブンゴト化』というものを進めています。そういうことをさらに深く考える契機になるといいですね」社員が参加するプロセスを重視した新しいオフィスも、「ジブンゴト化」の一つであるかもしれない。愛着が生まれるオフィスでは、笑顔が太陽のように輝いている。

沖縄セルラー電話 「空海」と名付けられた9Fのカフェテリア。便利に使える大空間が生まれたことで、以前はホテルなどを借りて行っていた社内イベントを自社のスペースでできるようになった。食堂の運営業者の選定においては、厳正な試食会が行われ、社員の意見が反映された。

沖縄セルラー電話 9Fの屋外に設けられたテラスは、心地よいコミュニケーションの空間になっている。

沖縄セルラー電話 9Fのスカイラウンジは、VIPの会食やバースペース、社長と社員の間で開かれる「ES・CS意見交換会」の後の懇親会の場としても活用されている。グラスには琉球ガラスが使われ、沖縄の音響機器メーカーである「知名オーディオ」のスピーカーが澄んだ音楽を奏でている。



DATA

所在地
沖縄県那覇市松山121
オフィス対象面積
約14,000m2
オフィス対象人員
約600名
プロジェクトマネジメント
新日鉄興和不動産
建築設計
日本設計・国建JV
インテリア竣工
2013年6月
オフィス設計・デザイン
岡村製作所
金山 昌司、長谷川 修
  • bp vol.13掲載(2014.02発行)