OFFICE[オフィス]ヒューリック株式会社 本社オフィス

業務の変革とスピードを支える、フレキシブルなオフィス

ヒューリック 6F執務フロアの窓側に設けられたミーティングエリアは、可動性のある什器で構成されている。その奥に見えるのはライブラリー。執務エリアは木目調のパネルが、落ち着いた雰囲気を醸し出している。

部門ごとの特徴に応じた効果的なレイアウトを採用

「快適をつくる。安心をひろげる。」をスローガンに、1957年の創業以来、オフィスビルを中心とした不動産賃貸事業を営んできたヒューリック株式会社。その新しい本社が、日本橋・大伝馬町に完成した。同社が長く取り組んできた耐震、環境、防災などの性能を兼ね備えた高品質ビルのコンセプトは、「100年の使用に耐える次世代型ユニバーサルスペース」。安心・安全や快適を具体的な「かたち」にした、言わば「ショールームオフィス」であり、顧客に届けたいさまざまな要素を盛り込んだ、中規模オフィスビルの省エネ・環境配慮技術の結晶となっているのだ。

その4Fから9Fまでの執務フロアは、業務の「変革とスピード」をモットーにしている同社らしさのある、フレキシビリティを確保した働きやすいオフィスとなっている。ベースパネルを骨組みにして天板を設置するスパインシステムを導入。頻繁な組織変更に対応できる、可変性の高いものとした。

ヒューリック 6Fには、不動産開発系の部門が入居。オープンな空間でフロア全体を見渡せるため、コミュニケーションが取りやすい。部長席はミーティングテーブル付きで、いつでもすぐに打ち合わせができる。

ヒューリック 9Fの管理部門では、チームで働くのに適した島型対向式のレイアウトを採用。オープンな打ち合わせスペースを確保し、通路には共用の収納を配置している。



そのレイアウトの特徴について、執行役員であり開発推進部長の浦谷健史氏は、こう語る。「執務エリアのレイアウトは、部門の特徴によって、だいたい3タイプぐらいに分かれます。1つめは、頻繁にミーティングが必要な不動産 開発系の部門。長手方向にスパインを流して、視線を遮るもののないオープンな空間にすることで、コミュニケーションを取りやすくしました。2つめは、財務や経理などの管理系部門。ここでは、部長が窓を背にした従来の島型配置的なところを、ある程度踏襲しました。3つめは、監査部門やコンプライアンスの部門。ここは守秘性が強く求められるので、パーティションで個室のようなつくりにしています」

移転プロジェクトの進め方について、開発事業部の志田原正造氏は、「移転前にアンケート調査を2回ほど実施したり、キーマンとなる部長へのヒアリングや報告会なども行いながら、部門ごとの特徴を認識・理解したレイアウトにしているんです。社長に声を届けるアンケートも年2回行っていますが、移転の前後は新しいオフィスへの意見が多く、そうした声もオフィスづくりに反映しています」と語った。非常にきめ細やかな準備を重ねながら、丁寧につくり上げたオフィスと言えるだろう。



ヒューリック 2Fの中会議室。スライディングウォールを開放すると、隣接する打ち合わせコーナーやカフェテリアと連続した大空間として利用できる。500人まで収容できるカンファレンスホール、約300人のパーティー会場など、多目的に使われている。

ヒューリック 2F中央に設けられたカフェテリアは80席。リフレッシュやPCを持ち込んだ打ち合わせの場としても用いられている。寛いだ雰囲気のラウンジコーナーも併設。移転に伴って自席での食事は禁止にした。なお、2Fは有事の際には災害対策室として機能し、非常用電話をつなげる回線なども備えられている。

ルールを確立し、技術によって人・物・情報を守るオフィス

新しい本社オフィスは、さまざまな要因から人・物・情報を「守る」オフィスでもある。まずはBCP対策。屋上には非常用発電機を備え、常時3日分の給排水が可能なしくみを整備したり、社員用の水・食料を7日分確保するなど、多岐に渡ってオフィスの安全・安心を維持する取り組みがなされている。

多層階オフィスビルにおけるセキュリティの設定と運用も、テナントビルでの使用を想定した安全・安心のしくみ。各階によって、またエリアによって、さまざまなセキュリティラインを想定し、効果的なレベル分けによって運用できるようになっている。

そして、重要な書類を管理するためのシステムも構築。「私たちの仕事の特性上、完全データ化にはなりません。契約書などのペーパーは絶対に必要ですから、それをいかに管理するかが大切ですね」(開発推進部長・浦谷氏)

「収納スペースは以前より増やしました。アンケートでも『収納がほしい』という声が多かったので、ハイキャビネットを一人当たり1.5本分くらい確保しましたが、ずいぶん余っていますね。当社では、個人の所有物はデスク周りに置くだけで、収納するものはすべて共有にして、誰でもいつでも見られるようにしています。そこで、ファイリングはルールを決めてプロジェクトごとに行い、鍵の管理は部門ごとに徹底しています」(開発事業部・志田原氏)

ヒューリック 3Fの会議室。両壁面のホワイトボードが会議をサポートしている。3Fにはさまざまなタイプの会議室を集約。PCはもちろん、会社支給のiPhoneでも予約することができ、社内・社外ともに打ち合わせのスペースとして利用されている。

ヒューリックインジケーターによって、廊下から使用状況が分かるようになっている。

ヒューリックスピーカやプロジェクタ、大型スクリーンなどが備えられた9Fの役員会議室。役員利用に限らず、3Fの会議室が空いていない時など、一般社員にも利用されている。

ヒューリック 10F役員フロアの専務室。その場で打ち合わせをし、迅速な決裁を行うことができる。

ヒューリック緑化によって環境負荷を減らしている屋上庭園は、ランチをとることもできるリフレッシュの場。東京スカイツリーを眺めながらバーベキューパーティーを開催するなど、社内の交流空間としている。

ヒューリック
建物には免震構造を採用。さらに、マサチューセッツ工科大学
(MIT)と共同開発した自然採光・自然換気システムを導入し
ている。CASBEE(建築環境総合性能評価システム)でSランク、
中規模ビル初のDBJグリーンビルプラチナ認証を取得している。

DATA

所在地
東京都中央区日本橋大伝馬町7-3
オフィス対象面積
7,687.94m2
オフィス対象人員
約260名
建築設計
日建設計
インテリア竣工
2012年9月
オフィス設計・デザイン
岡村製作所 福長 哲朗
  • bp vol.11掲載(2013.07発行)