OFFICE[オフィス]フォスター電機株式会社 本社オフィス

つながる音符のように、人と人とがつながるオフィス

フォスター電機

フォスター電機左/3・4Fの執務エリア。執務エリアと技術開発エリアは、吹き抜け階段でつながっている。執務エリアの吹き抜け階段の周囲には打ち合わせコーナーやアイランドカウンター、雑誌架などを配置。トップライトからの明るい日差しを受ける心地よい空間で、積極的な交流や情報交換をはかっている。
上/1Fエレベーターホール前のガラスのセキュリティゲートには五線譜が、エレベーター脇の白い壁には音符の並びが描かれている。これらを重ねて見ると、ベートーヴェンの「第九」の旋律が浮かび上がる、同社ならではのユニークな仕掛けとなっている。

まるで音の波のように交流の波が生まれている

「音がある フォスターがいる」をスローガンに、スピーカやヘッドホン、マイクロホンなどの音響機器のプロフェッショナルとして、12ヵ国34拠点にまたがって活躍するフォスター電機株式会社。1949年の創業以来、OEM専業メーカーとして音へのこだわりを追求し続けてきた。「音速経営」と呼ばれる迅速な意思決定は、昔から同社の大きな強みとなっている。

その新しいオフィスが、東京都昭島市の緑豊かな環境に、本社機能を内包するR&Dセンターとして誕生した。SP事業本部の吉村健氏は、その大枠についてこう語る。「まずは設計者が働きやすい環境づくりを考えて1・2Fの技術開発エリアを整備しました。技術に関わるところを優先して、次に3・4Fの事務ファシリティ部門の執務エリアを整備。これらが吹き抜け階段でダイレクトにつながっていますから、内線電話をかけるよりも、行って話したほうが速いという環境になっています」

フォスター電機 4Fの執務フロア全景。視線を遮るもののない空間で、フロア中央部にオープンな打ち合わせコーナーや書庫、吹き抜け階段などが設けられ、その両側に執務エリアが配されている。フリーアドレスを採用しているため、それをサポートする個人用のロッカーが、コア側の通路に面して設けられている。



まさに「音速経営」の姿勢は、執務エリアにも表れている。より迅速かつ効率的に仕事ができるように、技術系、事務系、CAD系共通のデスクスタンダードを設定。フレキシビリティのあるレイアウトとし、組織変更にも柔軟に対応できるようにしている。さらに、出張の多いワークスタイルも考え合わせ、基本的にフリーアドレスを導入。執務エリアについて、管理本部の指谷陽子さんは「以前は他の人が何をしているかも気にしないような職場でしたが、見晴らしがよくなり、コミュニケーションが取りやすくなりました。動線を工夫しましたから、お茶を飲みに行った時にフロアの中央で自然に会話が生まれるなど、部門を越えた相乗効果が生まれています」と語る。執務フロア中央に分散配置されたオープンな打ち合わせコーナーなどが、人と人とをつなぎ、まるで音の波のように、交流の波を生み出しているのだ。

フォスター電機執務エリアの中央に設けられた、ロールスクリーンで仕切ることのできる打ち合わせコーナー。予約がいらず、部門を越えた打ち合わせも盛んに行われている。通路に面した棚には各種スピーカのサンプルを陳列している。

フォスター電機 3Fの一部の設計者の席には、デスクトップPCを配置。窓側に設けられた集中業務席は、海外から訪れた人などのタッチダウン席としても使われている。

フォスター電機執務エリア内にも、音響メーカーらしいサインが施されている。

フォスター電機ゴルフ場の見える見晴らしのよい東側にはソファを設置。コミュニケーションを取ったり、リフレッシュしたり、上司との面談にも使われている。

音楽のモチーフが散りばめられた創造性の豊かなオフィス

1・2Fの技術開発エリアと、来客対応のエリアは明確に分かれたセキュリティゾーニングがなされている。2Fの来客エリアでは、吹き抜け階段を中心に応接室やギャラリー、試聴室などを配置。先進音響メーカーとしての同社の顔が伝わる空間づくりがなされている。

音楽をモチーフにしたサイン計画も施され、各部屋には楽器や音楽家にちなんだ名前が付けられるなど、オフィス内には楽しい仕掛けもいっぱい。クリエイティブな雰囲気が演出されている。グローバルを意識したネーミングや、和の設えのある応接室も、同社ならではである。

フォスター電機 2Fに設けられた「Gershwin(ガーシュウィン)」と呼ばれる来客対応の試聴室。ベストな音響空間で、顧客とともに音の性格をチェックすることができる。ちなみに、もう一つの最終チェック用の試聴室の名前は「Foster(フォスター)」。

フォスター電機 2Fのギャラリーでは同社の歴史を紹介するとともに、たいへん貴重なスピーカなどが展示されている。

フォスター電機

フォスター電機左/「waDaiko(和太鼓)」と呼ばれる会議室。海外との交流も多いため、障子風の丸窓など、和風の設えが好評を得ている。
上/1FのホールAには、同社が開発した平面スピーカを設置。音の直進性と低減衰率に優れ、株主総会など大人数での会議に活用されている。1つのユニットには超小型スピーカが1,024個埋め込まれ、それが全部で200ユニット。特殊アンプによって、ハウリングを防止している。



特筆されるのは、事前のPOE(施設利用者満足度調査)でも要望の多かったカフェテリア(食堂)の充実。天井には8分音符をデザインしたダイナミックな造作がなされ、3Fから西側の眺望を楽しめる大きな窓やカラフルなチェアが、リラックスした雰囲気を演出している。さまざまなコーナーがあり、その日の気分によって、またグループの人数に合わせて食事をとることが可能。また、LANの端子や電源も用意されているため、ここで執務をしたり、打ち合わせを行っている光景もよく見られ、常に活発な動きにあふれた空間となっている。まさに軽快な8分音符が、いくつも弾むように聴こえてくるかのようだ。

フォスター電機カフェテリアの会計には、Edyによる自動精算システムを採用。新しいオフィスでは、食事を自席でとってはいけないというルールが定められているため、お弁当派もカフェテリアに集まって交流が行われている。

フォスター電機更衣室に併設された、洗面化粧台もある女性専用のパウダールーム・休憩室。利用者の声を生かしたホスピタリティの高い空間は、たいへん好評である。

 

DATA

所在地
東京都昭島市つつじが丘1-1-109
オフィス対象面積
13,401.28m2
オフィス対象人員
約600名
建築設計
竹中工務店
インテリア竣工
2012年11月
オフィス設計・デザイン
岡村製作所
後藤 敏和、岩坂 知実
  • bp vol.11掲載(2013.07発行)