OFFICE[オフィス]ダイキン工業株式会社
テクノロジー・イノベーションセンター

社内外の「協創イノベーション」を加速させるオフィス

ダイキン工業3Fの「知の森」と呼ばれる広大なコミュニケーション空間では、大画面モニタやホワイトボードなどを活用しながら、社内外の人との積極的な交流が行われている。

ダイキン工業6階建てのテクノロジー・イノベーションセンターは、建物そのものが同社の技術の結晶であり、空調をはじめとするさまざまな環境技術が導入されている。

ダイキン工業「知の森」の空間の中でも照明や家具などに違いがあり、場所を選んで打ち合わせを行うことができる。

フラットでスピーディーな交流を促進するオフィス

大正13年の創業以来、続けてきた企業努力によって、2010年には空調分野におけるグローバルNo.1企業にまで成長したダイキン工業株式会社。その新たな技術開発のコア拠点として、2015年11月、テクノロジー・イノベーションセンターが、大阪府摂津市にある同社の淀川製作所の敷地内にオープンした。「空気環境とエネルギー分野における新しい社会価値の創造」をめざし、堺、滋賀、淀川の3つの製作所のおよそ700名の技術者たちが集結した。
「技術のダイキン」のコア拠点が見つめているのは、もっと先の未来である。さらに新たな価値創出をめざすためには、社内外の多様な人々が、国境をも越えて、お互いの強みと情熱を持ち寄ることが大切だと考えた。「協創イノベーション」の実現に挑戦する場は、そうした考え方から生まれた。
そんなオフィスを象徴する空間が、3Fに設けられた「知の森」と呼ばれる大空間。社内外の人々が議論やコラボレーションを深め、未来を切り拓くためのシェアード・スペースである。あらゆる垣根を越えようという想いが、そのまま壁のないオープンな空間となり、活発なコミュニケーションにつながっている。また、執務エリアのすぐ下のフロアであるため、技術者はいつでもスムーズに活用できる。

ダイキン工業上/1Fの受付、2F、3Fを見渡した光景。3Fいっぱいに広がる「知の森」のスケール感がうかがえる。
右/オフィス棟の中央には吹き抜け空間があり、緑の植栽が明るい自然光に輝いている。

ダイキン工業


4・5Fの2層構成になっている執務エリアの中央には吹き抜けがあり、その真ん中には部門を越えたワイガヤ...すなわち協創を促すための空間がある。この「ワイガヤステージ」も、同社が大切にするフラットでスピーディーな交流を促進し、イノベーションを起こしやすいようにと意図されている。また、人間が状況を認知できる距離の限界値と言われる30m以内に、すべての執務エリアが配置されているため、情報を共有しながら一体感のもとに仕事を行うことができる。
執務エリアには4人1単位のワークステーションを多く採用し、互い違いに配置。あえてジグザグの動線がぶつかるようにすることで、人と人との接触や会話の機会が増えるようにしている。
さらに注目すべきは、同社の空調技術をはじめとする先進技術がオフィスに採用されていることだ。実証実験の場として多くのセンサーが設けられ、空調と照明のコントロールが行われている。竣工段階では、標準ビルと比較してエネルギーの70%削減を達成。2020年にはゼロエネルギービルが実現されることをめざしている。

ダイキン工業4・5F執務エリアの中間階に設けられた「ワイガヤステージ」では、常に活発な打ち合わせが行われている。広大な執務エリアに一体感を生み出している。

ダイキン工業「ワイガヤステージ」の下には、集中ルームと呼ばれる空間があり、少人数でのプロジェクト会議などを行うことができる。その隣は専門誌などが置かれたライブラリーコーナー。

ダイキン工業4・5Fが執務エリアで、技術者の自席が設けられている。

長期的な未来へ向けた研究開発を推進する場

6Fの「フューチャーラボ」と名付けられた空間にも、同社の開発姿勢がよく表れている。副センター長の河原克己氏は、こう語る。「この空間は、現実の課題の延長で未来を考えるという場所ではありません。現実からのしがらみを一度取り払って、10年、20年先の未来のことを考え、そこから新しいテーマをつくり、技術を生み出す場所なんです。短期的に企業の利益に直結する活動ではありませんが、従来の延長ではイノベーションのきっかけを生みにくい。そんな状況を打破しようとするための場所です」本当のイノベーションテーマを見つけ出すための大空間には、社内外を問わずさまざまな業種の人々が集う。
そして、外部との協創を促進する、もう一つの特徴的な空間が「フェロー室」だ。大学の教授や各界のオピニオンリーダーが自由に使える7つの部屋を用意。技術者がアドバイスを受けたり、少人数でテーマの研究を深めたりする中で、新しいアイデアを生み出す場になっている。「フェロー室」にはそれぞれに「Stella」「Mare」「Terra」など、ラテン語で自然にまつわる名前が付けられた。ネーミングに合ったコンセプトで異なる内装を施し、部屋に飾る絵画もそれに合わせている。国内外を問わず、有名作家による絵画を各所に飾っていることには、「技術・研究のトップリーダーは、絵画でも一流のものからの刺激を受けるはずだ」という想いが込められている。
さらに、オフィス棟の隣には、実験棟が連続。考える空間と、試す空間を、スピーディーに行き来することができる。また、できるだけ空間を区切らない大部屋の実験室にしているため、隣の部門の実験も見えることでのシナジー効果が期待できる。

ダイキン工業

ダイキン工業上/6Fの「フューチャーラボ」と呼ばれる空間は、社内外を問わず、さまざまな業種の人々が未来に向けた協創を行うエリア。奥にオープンキッチンも設けられている。
左/「フューチャーラボ」では、ホワイトボードや大画面モニタを活用しながら、アクティブな打ち合わせが行われている。


人を基軸にした経営を実践する同社には、「一人ひとりの成長の総和がグループの発展の基盤」だという考え方がある。「私たちは世界一の空調企業になって研究開発がますます忙しくなり、どうしても短期指向に陥りがちです。でも、ここはいい意味での遊びやゆとりによって、ぶっ飛んだチャレンジングな夢を描ける場所。知的好奇心を刺激するセミナーやイベントなども開催され、若い人を中心に、さぁ頑張ろう! 新しいことを始めてみよう! という気運も高まっています」(河原氏)。新たなオフィスはまさに人が基軸であり、ダイナミックな空間と繊細な取り組みが、これからも人の成長を促していくだろう。

ダイキン工業「フューチャーラボ」には、上下昇降テーブルが設けられた「プロトタイピングコーナー」も。打ち合わせの内容をすぐカタチにできる作業コーナーである。

ダイキン工業「啓発館」では床まで利用した立体的な展示が行われ、同社の発展の歴史や、技術のDNAなどが感じられる。


DATA

所在地
大阪府摂津市西一津屋1-1
オフィス対象面積
約48,000m2
オフィス対象人員
約700名
建築設計
日建設計・NTTファシリティーズ
設計共同企業体
インテリア竣工
2015年11月
オフィス家具
岡村製作所 他
  • bp vol.21掲載(2016.03発行)