MUSEUM[美術館・博物館]佐野美術館

日本庭園とモダニズム建築が迎える美術館

佐野美術館 1階のミュージアムショップ。ガラスの什器でエントランスロビー側と緩やかに分節している。奥に鏡像のレセプションカウンターが見える。

開館45周年を迎えて刷新

佐野美術館は創設者である佐野隆一のコレクションをもとに1966年に開館した。伊豆箱根鉄道駿豆線・三島田町駅からほど近い住宅街の一角にある。敷地内には「隆泉苑」という日本庭園が併設されており、かつて佐野が両親に贈ったという旧邸宅が登録有形文化財として保存活用されている。美術館は建築家・大熊喜英による本格的なモダニズム建築だ。所蔵品は東洋の古美術を中心に約2500件、日本刀のコレクションでよく知られており、開館当時は日本刀の美術館とする予定だったという。

佐野美術館水平基調でモダニズム建築の要素を備えた端正な外観。日本の城がモチーフとして投影されている。右手が隆泉苑へとつながっている。

佐野美術館「隆泉苑」は回遊式の日本庭園で来館者に無料で公開され、敷地内にはレストランもある。三島駅から約1.5kmの距離だ。

 



同館では45周年を迎えて手狭だった収蔵庫を新築、また国宝・重要文化財を公開展示する施設として文化庁の承認を継続して受けるため(公開承認施設制度)、老朽化対策も兼ね全面的にリニューアルを施すことになった。長谷川逸子・建築計画工房が設計を担い「女性の来館者が多いため、女性やシニアが気軽に訪れられる場所としたい」という美術館側の要望によって、ロビーやミュージアムショップなども刷新した。外観も近代建築然とした美観を維持しつつ、柱を白くするなどより親しみやすい雰囲気でまとめられた。

隆泉苑では美術館主催の講座やお茶会などのイベントも開かれており、地域や街との協調を基本構想として掲げるとともに、建築と庭園が一体となって豊かな美術館体験をつくり出している。

佐野美術館

佐野美術館左/置き型の展示ケース越しに壁面展示を見通す。リニューアル後の幕末の刀匠をテーマとした展覧会の様子。日本のオリジナリティーとして世界に誇れる刀文化の情報発信をうたう。
上/2階の展示室。展示ケースは岡村製作所で製作。着脱可能なアクリルパネルを採用し、露出展示の場合は収納できるようにした。



DATA

所在地
静岡県三島市中田町1-43
開館(リニューアル)
2013年4月13日
敷地面積
約8423m2
延床面積
約933m2
設計(収蔵庫・改修)
長谷川逸子・建築計画工房
  • bp vol.14掲載(2014.05発行)