LIBRARY[図書館]徳島市立図書館

駅前図書館というユーザビリティ

徳島市立図書館 6階一般室の開架エリア。

徳島市立図書館 5階こども室は、市の中心街がひょうたん島と呼ばれる中州であることをインテリアに取り入れた。

徳島市立図書館こども室のAV視聴覚コーナー。

徳島市立図書館こども室のソファ。

百貨店の隣にある図書館

徳島駅前、県内随一の百貨店であるそごう徳島店。駅周辺の商業的な人の流れをつくる要となっている。建物は専門店街やホテルに加え、徳島市シビックセンターと呼ばれる文化施設も入居する複合ビル(通称「アミコビル」)だ。

徳島市立図書館は、2012年4月にアミコビルの5~6階へ移転した。それまでは、いわゆる官庁街にある中央公民館の併設で、30年以上前に建てられた施設だった。

移転によって、立地の持つ高い利便性や3倍以上の面積増床などが見込まれたため、ファシリティとしてのハードを始め、ソフトとしての運営面も刷新し、次代を見据えた図書館として大幅にアップデートしている。

設計を担当したアール・アイ・エー企画設計部の大室悟史氏と辻村一義氏は「ビル内の商業施設とフラットにリンクしていることから、全体にトーンを明るくし、入りやすさを重視した」と話す。館内は白を基調として、随所に観葉植物を配し、同じタイミングで改修されたシビックセンターと連動したデザインで、5階は原っぱ、6階は森をイメージされた。5階(約1200m2)はこども室、6階(約2100m2)に一般閲覧室を中心に総合受付、ラウンジや閉架書庫なども備える。

イスやソファの種類にバリエーションをつけることで、広いワンルーム空間に多様な利用シーンを作り出している。最新のICT技術を多く採り入れて、各種情報系サービス(無線LAN、電子タブレット貸出、電子図書館、ICタグなど)も大幅に拡充した。

徳島市立図書館 6階の一般閲覧室を見通す。天井のダウンライトは木漏れ日をイメージして配灯している。

徳島市立図書館 6階のテラス席。市のシンボル的存在である眉山を望むことができる。

徳島市立図書館 6階のラウンジでは、軽い飲食も可能だ。

徳島市立図書館 一部天井高が上がっている部分を活用し、デザイン的にメリハリをつけた。

徳島市立図書館調査・学習などに利用できる6階の社会人席コーナー。床は県産材の藍染めフローリング。

大幅に拡大した利用者層

「移転をきっかけに図書館は大きく変化しましたが、結果として利用者層も変化したと言えると思います」と徳島市教育委員会の竹縄諭氏は言う。以前は、新規利用登録者数が年間およそ2500人程度だったのが、移転後1年の平成24年度は1万2381人にまで達した。貸出者数・冊数など利用状況を測る数字は軒並み増加し、若年層や女性などのリピーター数や利用頻度も向上している。

立地の特性もさることながら、徹底した利用者目線、市民ニーズの追究が功を奏したといえる。ニーズを測るということは、市民の生活をきちんと見つめることにほかならない。徳島市立図書館の成果は、行政・公共サービスが特別な位置にあるものではなく、買い物や通勤などと同じ日常のラインにあるべきということを示している。そうして新しい人の動きや交流が生まれることで、街や地域の活性化の貢献にもつながっていくはすだ。

同時に、かつての"ハコモノ"のような過剰で硬直化しやすい施設ではなく、きめ細かで柔軟性、多様性を備えた空間づくりが求められていることがうかがい知れる。

徳島市立図書館 5階のこども室。柔らかい印象と「原っぱ」のコンセプトで雲形のモチーフを多く使っている。

徳島市立図書館 5階のこども室は、読み聞かせのスペースや靴を脱いで利用できるたたみコーナーなども用意される。


DATA

所在地
徳島県徳島市元町1丁目24 アミコビル内
開 館
2012年4月1日
床面積
約3300m2(図書館部分)
収蔵可能数
約50万冊
内装設計
アール・アイ・エー
施 工
鹿島・北島コーポレーション建設共同企業体
  • bp vol.12掲載(2013.10発行)