ACADEMIC[教育施設]小国町立小国小学校

町の新しいシンボルとなる小学校

小国町立小国小学校3層吹き抜けになった昇降口につながるエントランス。右手に保護者やバスを待つ児童が使う待合ホール、左手に衣類乾燥室がある。

小国町立小国小学校 1階から大階段を見通す。トップライトや右側の吹き抜けから採光される。1階階段下は展示ギャラリーとなっている。

厳しい冬から守る校舎

小国町は山形県南西部、新潟県との境に位置する。人口約8400人、面積比96%を林野が占め、有数の豪雪地帯でもある。積雪期間は年間100日を越え、積雪量は中心地区でも2m以上となる。

少子化により町内の就学児童数はこの20年でほぼ半減し、近年、小中学校の統廃合が進められてきた。とりわけ小国小学校は基幹校として位置づけられ、1960年代に建設した校舎も老朽、全面的な刷新を要することとなった。

2001年からは文科省指定の研究開発学校として小中高一貫教育を実施、指定期間以後も町の特色として進めてきた経緯もあり、小国中学校に隣接し、県立小国高等学校ともほど近い敷地に移転・新築された。

小国町立小国小学校普通教室は日当たりの良い2~3階にある。天井高は3m、廊下の幅は 3.2mだ。廊下との境は全面引き戸でオープンに使うことも可能。

小国町立小国小学校大階段の踊り場にあるワークスペースは、少人数指導やグループ学習などに利用される。

小国町立小国小学校1階にある理科室。

小国町立小国小学校雛壇の設けられた2階音楽室。


冬期の厳しい寒さと雪への対策として、校舎に体育館を包含した矩形のプランを採っていることが大きな特徴だ。コンパクトでシンプルとしたことで除排雪処理の負担も軽減した。室内は全体にゆったりとした空間づくりで、特に3階まで抜ける大階段が象徴的な存在だ。内装には町産木材を多用し、地場産業に貢献するとともに快適性や環境意識の向上にも寄与している。「廊下を走る子が少なくなりました。気持ちにゆとりが出来たのではないでしょうか」と新校舎について校長の長沼誠氏は話す。

延べ八つの小学校が統合され、小国小学校に集約、児童数は2014年度で370名になった。

「通学時間による不平等をいかになくすか。小国町は東京23区が入る広さがあり、全国的にも例のない広域学区となりました。スクールバスで通う子も120名になる。時間差が児童の負担にならないよう、課前・課後の取り組みや日課割りなどで工夫しています」と長沼氏は言う。

小国町立小国小学校メディアルーム(図書室)は2層吹き抜けで天井高6mを超える。天井は吸音仕様で杉板を目透かし貼りしている。北側角に位置し、開口部も多い。

小国町立小国小学校アリーナ(体育館)にも全面的に杉材を使用。

小国町立小国小学校
3階からグラウンド方向を見る。
敷地は横川に面する。

学校という交流施設

周囲は町の体育施設や教育施設が集中しており、その連携と併せて老朽化が進んだ諸施設の機能を小国小学校で補完していくことも想定されている。子どもの数が減っていく中、リソースを有効に適切に活用するためだ。メディアルーム(図書室)は生涯学習推進のため、将来的な一般開放も視野にある。地域との交流を通じた食育のためのランチルームや、中学校の給食もまかなう大型の調理室も備わる。アリーナや多目的ホールなども含めて、町の拠点施設としての期待もされているのだ。

町の人々が小国小学校を何かしらのかたちで利用する。子どもたちが世代を越えた交流を深め、授業だけでは得られない多くの体験を共有していく空間となることが想像できる。

小国町立小国小学校

小国町立小国小学校左/堂々と杉丸太があしらわれたメディアルームの通路。突き当りはパソコン室となる。
上/北側から見た無落雪屋根(陸屋根) の外観。町産杉材が外壁にも使われる。左手の渡り廊下で小国中学校と連結している。


DATA

所在地
山形県西置賜郡小国町大字岩井沢673
敷地面積
約7万1632m2(既存中学校敷地と合算)
延床面積
約1万812m2
設 計
本間利雄設計事務所+地域環境計画研究室
施 工
那須・山和・髙橋特定建設工事共同企業体
  • bp vol.16掲載(2014.09発行)