ACADEMIC[教育施設]東京国際フランス学園

色があふれるインターナショナルスクール

東京国際フランス学園改修棟と増築棟(右側)に囲まれた中庭は初等科の運動場。2棟のブリッジ部分は図書室を配した。改修棟壁面はフランスのアーティストによるペインティングが予定されている。

東京国際フランス学園正門より中・高等科棟を見る。移転を機に歩道が拡幅され、通学バス用の車寄せなども設けられた。改修棟は壁面緑化を施され、環境問題に対する教育的効果も企図されている。

東京国際フランス学園北側の幼児科の運動場。隣接する石神井川沿いには緑豊かな環境が残る。

850人の子供たちが集う場

東京都北区・滝野川。一帯は大学や教育施設なども多い、いわゆる東京らしい繁華とは離れた住宅街に東京国際フランス学園はある。1967年の開校で、仏外務省が管轄するフランス在外教育機構に属する。以前の校舎は幼児・初等科が千代田区、中・高等科が台東区と別れていたが、新たに旧都立商業高校の敷地・建物を利用することで、3歳から18歳までの子供たち、約850人が通うインターナショナルスクールとなった。

多様な年齢の子供のアクティビティにそれぞれ対応させるため、配棟計画で明確なゾーニングをした。中・高等科の入る、既存を改修した校舎が南側教室・北側片廊下の典型的な学校建築なのに対し、増築した幼児・初等科の校舎は緩やかに蛇行した平面となっており、子供たちが遊ぶ園庭やコートヤードを柔らかく包んでいる。

東京国際フランス学園

東京国際フランス学園左/3階の図書室は中・高等科が使用する。
上/2階の幼児・初等科図書室。計画全体のカラースキームとサインはデザイナーの矢萩喜従郎氏が参加して進められた。

色は生活の一部

建築のプログラムは、フランスの明快な設計仕様書が各教室の数、面積から必要照度など詳細まで定めており、主にそれに従うかたちで設計が進められた。それ以外の部分は、「建築のプロとして、私たちを尊重してもらえました」と移転・建設プロジェクト全体を取りまとめた山下設計の第2設計部・三沢守氏は振り返る。「ただし、自分の意見をしっかり持って、議論ができないとダメです」

またデザイン監修に、仏公認建築家の資格を持ち、フランスでの設計の経験も豊富な赤堀忍氏を迎え、同氏との協働で取り組んだ。

同社のチームが口を揃えるのが、施主側の色についてのこだわりだ。床・壁・天井はもちろんのこと、岡村製作所が担当した家具も「フレームが素地や無彩色ということはあり得ず、色を付けることが入札の条件でした」(山下設計インテリア設計室・小畑真紀氏)。塗装の色だけでなく、光の色温度などにもこだわり、校長自ら色選定に加わるなど、色を生活の一部と考える文化の違いに驚いたという。

東京国際フランス学園幼児科の教室。開口部が北向きのため、間接光中心の柔らかい光が差し込む。

東京国際フランス学園初等科の教室。壁面は塗り替えを前提としているので、ビニールクロスは一切使われていない。

東京国際フランス学園中・高等科の使うPCルーム。天板にガラスをはめ込み、自然な姿勢でディスプレイが見えるよう設置した特注家具。

東京国際フランス学園改修棟の中・高等科の廊下。

言葉と文化の拠点

フランスは世界各国に486の同様な学校を持ち、約30万人以上の生徒が通う。東京国際フランス学園では、フランスを始め、55の国籍の生徒が在籍する。また、講堂を使った文化事業や災害時の防災拠点、もしくは生涯教育の場として活用することも想定していて、学校という枠を超えた、在日フランス語コミュニティにとって「文字通りのコミュニティセンター」(山下設計・藤沼傑氏)だ。

言語や教育が、その国・地域としての文化や力の源になることを強く認識し、外国であっても国内同様にそれをサポートするという姿勢。フランスが文化先進国とも言われる所以の一端が垣間見える。

東京国際フランス学園

東京国際フランス学園左/弧を描く増築棟1階の幼児・初等科の食堂。
上/増築棟2階の中・高等科の食堂。


DATA

所在地
東京都北区滝野川5丁目57-37
開校(移転)
2012年10月(開校式)
敷地面積
2万961m2
延床面積
1万6128m2
設 計
山下設計+赤堀忍/イトレス&ACD
サイン・色彩計画
矢萩喜従郎
建築施工
清水建設
  • bp vol.10掲載(2013.03発行)