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2013.12.01  取材・文/山下久猛 撮影/守谷美峰

働き方革命を起こしたい

──確かにそうなれば働き方の選択肢も増えますよね。

例えばお子さんをおもちで、往復2時間かけて満員電車に揺られて通勤している人はたくさんいらっしゃると思いますが、僕らが普及させようとしている働き方が可能になれば、2時間の通勤時間がなくなり、お子さんと過ごす時間が2時間増えます。これは幸せなことですよね。

大部分の人にとって仕事は生涯付きまとうもの。1日のうち仕事をしている時間はだいたい3分の1から2分の1くらいを占めますよね。ということは仕事は人生の2分の1か3分の1を占めることになります。その部分がよくなると人生の2分の1、3分の1くらいがよくなる。このように、人びとの働き方を変えることで、生活や人生をよくしたい。これが僕らの一番やりたいこと、目指していることです。さらにもっとその先の未来には革命が起こるかもしれません。


──どういうことなんですか?

地球規模で自由な働き方をする人が増えると、人類にとって自由な時間が1%増える。人類が今後100億人になっていく中で、1%の自由な時間って非常に大きいですよね。そうなるとクリエイティブなことを考える人も多くなると思うので、その時間で世界を変えるような画期的な発明やクリエイティブな革命が起こる可能性はかなり高いと思うんですよ。ランサーズで働き方革命を起こし、その支援になるきっかけになればいいなとも密かに思っているんです。

ランサーズのユーザー像

──実際にランサーズをよく使っているのはどんな人なんですか?

最近、自由な働き方を選択する個人の方が増えていて、現在、ランサーズだけで生活している年収300万円以上の人が150~200人ほど。一番稼いでいる人で年間800万円くらいです。そしてランサーズで毎月いくらかの収入を得ている人が1500人ほどいます。数としてはまだまだ少ないのですが、ランサーズというサービスを生み出す以前は0だったわけですからそれなりに意味はあるかなと思っています。

そしてランサーズのユーザーの7割は地方在住です。地方に住みながら東京の企業の仕事をして生活する。そんな生き方、働き方をしている人がけっこういるんですよ。例えば仙台在住の女性ライターや奈良在住のデザイナー、長野在住のエンジニアなどは東京の大手クライアントを何社か抱えていて2年間で千数百万の仕事をしています。あとは意外と沖縄在住のデザイナーやエンジニアなども多いです。

実際に、先日僕のFacebookにユーザーさんから写真付きのメッセージが送られてきました。「今、秋好さんが作ったランサーズで仕事をしています。私が生きている世界を見てください」と書かれてあったので、何だろうとおっかなびっくり画像ファイルをダブルクリックしてみると、田園風景の中、川で子どもが遊んでいて、その風景をバックにパソコンで仕事をしている人が写っていました。

メッセージの続きには、「我が家の裏です。こんな田舎なのにランサーズ様のおかげで仕事ができて本当にありがたいです」と書かれてありました。山に囲まれ、近くに清流が流れているような場所に暮らし、川で裸で遊ぶ我が子を眺めながらパソコンで仕事をしているのがその人だったのです。

こういう人がいるということは頭では理解していたつもりだったのですが、ユーザーから直接僕個人に生のメッセージや写真が送られてきたことで、現実にこういうことが起こっているんだとリアルに感じられて大きな衝撃を受けました。同時にとてもうれしかったですね。ランサーズを立ち上げてよかったと心底思った瞬間でした。

成長するユーザー

──まさに時間と場所にとらわれない働き方を実現している人ですね。他に印象的な人はいますか?

ある沖縄在住の女性はまず、ランサーズで「タスク」と呼んでいる簡単な単純作業から始めました。中にはおもしろい仕事もあるし、お金も毎月振り込まれるから楽しくなった。でもいかんせんタスクは1件100円、200円と単価が安いので数をこなさなければならない。そこでもっと単価の高い仕事をするためにスキルを身につけようと、インターネット上で無料で受けられるデザイン講座を受講。そこで身につけたスキルで単価が高いデザインの仕事をやりはじめるようになって収入を上げたという人もいます。自分で学ぶ意欲がある人はランサーズを介してこのように進化していける可能性があるんですよね。

僕らが狙いたいのはまさにそこで、今はタスクでお小遣い程度しか稼いでない多くのランサーさんにこういう人になってもらいたいんです。そして、2017年までにランサーズだけで生活できる人を1万人に引き上げたいと思っています。

秋好陽介(あきよし ようすけ)
1981年大阪府生まれ。ランサーズ株式会社代表取締役社長。

20歳のときに初めてPCを購入し、自力でホームページを制作。以降、広告収入や受託開発などインターネット関連ビジネスで個人事業主として年間数千万円の収入を得る。2005年、ニフティ株式会社に入社。Webプロデューサーとして複数のインターネットサービスの企画運営を担当。2008年4月ニフティを退社し、起業。同年12月に「時間と場所にとらわれない新しい働き方」の創出を目指して国内初となるクラウドソーシングサービス「ランサーズ」を立ち上げる。現在では同種のサービスがいくつか存在するが他の追随を許さないほどの圧倒的シェアを誇る。2013年1月、日本テレワーク協会「第13回テレワーク推進賞」の会長賞受賞。

初出日:2013.12.01 ※会社名、肩書等はすべて初出時のもの

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