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特集 1 健康を重視した「働く姿勢」の提案

オカムラは、オフィス家具をはじめとする製品の提供や空間づくりにおいて、業務の効率性や創造性といった観点だけでなく、健康との関係を重視し、働く人の身体に負担の少ない製品の開発や作業環境の提案に努めてきました。2015年には、これまでの研究成果やさまざまな知見を踏まえ、立ち姿勢を取り入れた新しい働き方「+Standing(プラススタンディング)」のコンセプトを打ち出し、健康の側面を重視した「働く姿勢」の提案を行っています。

メインイメージ

身体に負担のかからない姿勢を追求

パソコン利用の広がりをはじめ、オフィス環境や業務形態の変化とともに働く人の姿勢も変わってきており、こうした中で、作業姿勢が健康に及ぼす影響も懸念されています。
厚生労働省の「技術革新と労働に関する実態調査」(2008年)によると、身体的な疲労や症状を感じているオフィスワーカーは7割近くにのぼり、具体的な症状として「目の疲れ、痛み」「首・肩のこり、痛み」「腰の疲れ、痛み」などが挙げられています。こうした症状の背景には、1日の約3分の1あるいはそれ以上の時間を過ごすオフィスでの姿勢の影響もあるものと考えられます。
業務に伴う身体への影響を軽減し快適に過ごすためには、「作業内容に合わせて姿勢を変えること」「長時間にわたって同じ姿勢を取らないこと」が重要であるとの認識から、オカムラは5つの姿勢を提案しています(下図)。こうした視点に立ち、多様な作業姿勢に応じた製品を開発するとともに、好ましい姿勢を保持するための材質やデザイン、機能の研究を続けています。
また、働く姿勢と健康の関係、好ましい姿勢で快適に働くためのポイント等についてまとめた冊子「The Posture はたらく姿勢を考える」を2015年に発行するなど、啓発活動にも力を入れています。

作業内容に応じた5つの好ましい姿勢

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立ち姿勢を取り入れた新たな仕事のスタイル

一般にオフィスワークにおいては座った姿勢での業務が中心となりますが、特に日本では座り姿勢が長時間に及ぶ傾向が見られます。世界20カ国を対象とする調査結果によると、日本では平日の座位時間(中央値)が7時間と最も長く、20カ国の平均値の5時間を2時間上回っています。
座り姿勢は身体への負担が少ないように思われがちですが、「座り過ぎ」によって体重増加や肥満、血行不良など、さまざまな健康リスクが高まるという研究結果が報告され、仕事の効率にも影響することがわかってきました。また、1日の座位時間が短い人に比べ、長い人の方が死亡リスクが高くなるという調査結果もあります。

世界20カ国における平日の座位時間(中央値)

グラフBauman AE, Ainsworth B., Sallis j, et al. The descriptive epidemiology of sitting: A 20-country comparison using the International Physical Activity Questionnaire (IPAQ). Am J Prev Med 2011; 41: 228-235. より作成

1日の座位時間と死亡リスク

グラフVan der Ploeg HP, Chey T, Korda RJ, et al. Sitting time and all-cause mortality risk in 222,497 Austrarian adults. Arch Intern Med 2012;172:494-500. より作成

仕事の姿勢による足のむくみの比較(作業開始から120分後の下腿周径増加量)

グラフ公益財団法人 大原記念労働科学研究所調べ

こうした知見や日本における働き方の状況を踏まえ、オカムラは、仕事を行う姿勢が身体に与える影響について、大原記念労働科学研究所とともにさまざまな観点から実証試験を行いました。その結果、座ったり立ったりを繰り返す「座り時々立ち」は、座り姿勢や立ち姿勢を継続する場合に比べ、眠気や足のむくみ、疲労の抑制につながる面があることがわかりました。
このように座り姿勢に時々立ち姿勢を取り入れる仕事のスタイルが、健康維持とパフォーマンス向上に結びつくことに着目し、オカムラでは「健康」「効率」「交流」を重視した新しい働き方として「+Standing」を提案するとともに、容易に上下昇降ができるデスクなど「+Standing」をサポートする製品の開発、提供を進めています。

お客様の導入事例——株式会社メタルワン様

将来を見据えたワーク環境を追求し、立ち姿勢の仕事スタイルを導入

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株式会社メタルワン
薄板事業部
山川 慶一郎

写真株式会社メタルワン・東京本社オフィスの様子

昇降式デスクに対するNASAの評価に着目

三菱商事株式会社と日商岩井株式会社(現 双日株式会社)により設立された鉄鋼総合商社である株式会社メタルワン様は、2015年の本社移転に伴い社内のワーク環境の一新を図りました。同社の山川慶一郎氏(薄板事業部)が語るように、「10年後も新しいと思えるオフィス」を目指し、その中でオカムラの上下昇降デスク「Swift」が大きな役割を果たしています。導入のきっかけとなったのは、NASA(アメリカ航空宇宙局)が昇降式デスクを評価しているとの情報を得たことでした。東京本社オフィス在勤の約1,000名が「Swift」を使用しています。

啓発活動により利用を促進

「移転当初は、デスクを上げ下げする人はあまり多くありませんでした」と山川氏は振り返ります。このため、山川氏がオカムラの担当者と一緒に全フロアをまわり、立って仕事を行うことのメリットを説明するとともに、製品の使い方や効果などに関する情報を社内イントラネットを通じて提供しました。
こうした啓発活動により、導入から1カ月を過ぎた頃からデスクを上下させて使用する従業員が増え、今では「座り時々立ち」を積極的に取り入れる人と、座ったままで5cm程度机を上下させるという人が半数ずつぐらいとなり、上下できないデスクには戻れないという人も多いそうです。

健康面の効果とコミュニケーションの活性化

導入から数カ月が経過し、健康面などの効果を実感する従業員が増えてきました。具体的には、肩こりや足のむくみが軽減した、腰痛が治ったといったケースが見られます。また、自分の体格に合った高さにデスクを設定できるので姿勢が良くなった、という声も多く聞かれます。
業務の観点からは、資料の俯瞰や捺印など作業内容を踏まえデスクの高さを工夫する従業員も出てきています。また、立っていると予想以上に話しかけやすいこともわかり、コミュニケーションの活性化という面でも効果が現れています。会議室でも「Swift」が使われており、立って打ち合わせをすると活発に意見が出て、会議時間の短縮につながるケースも多いとのことです。

「座り時々立ち」スタイルの普及に向けて

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マーケティング本部 ソリューション戦略部左:垣屋 譲治 右:武田 浩二

「座り時々立ち」という新たな仕事のスタイルの導入を促進するために、私たちは「+Standingコンシェルジュ」の活動を展開しています。
日本では、オフィスワークは座って行うものという認識が一般的で、立って仕事をするイメージを持ちにくい方が多いのではないかと思います。こうしたことから、セミナーや体験会などの機会を通じて、業務に立ち姿勢を取り入れることの意義や効果をお客様にお伝えしています。また、すでに「座り時々立ち」のスタイルを導入されているお客様に、製品を効果的に使用していただくためのアドバイスやマニュアルづくりのお手伝いなども行っています。
「+Standing」は働く人の健康面だけでなく、業務効率の向上、コミュニケーションの活性化などの面でも効果が期待され、導入されたお客様からもこうした変化を実感しているとの声をいただいています。
産業界において「健康経営」を重視する動きが広がりつつありますが、オフィスワーカーの方々が元気に働くことができ、生産性の向上にもつながるよう、今後もお客様の職場の状況に応じたきめ細かなサポートを続けていきたいと考えています。

働く姿勢とオカムラの取り組み

快適で健康的に過ごすためには、自分の体のしくみや好ましい作業姿勢を知ることが重要です。
オカムラでは長年にわたる研究成果をふまえ、働く姿勢の重要性を広く知っていただくための情報発信に努めています。

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椅子の進化の歴史を踏まえ、より良い製品をめざす

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左:マーケティング本部 オフィス製品部 髙橋 卓也 右:マーケティング本部 オフィス研究所 浅田 晴之

家庭、乗り物、学校など、私たちの生活の中には椅子に座る機会が数多く存在します。椅子は身体に密着する唯一の家具であり、座る人の健康と密接な関わりを持っています。中でもオフィスで使用する椅子は、働く人の姿勢をサポートする役割を持つ製品として働き方の変化とともに進化してきました。
オカムラでは、1960年代に人間工学的な視点から椅子の研究を開始して以来、座り心地の向上をめざして研究を重ね、製品開発に結びつけてきました。こうした取り組みを通じた椅子の進化の歴史を知っていただくことを目的に、2009年に「オカムラいすの博物館」を開設しました。同博物館では、木製椅子が主流であった時代に販売された金属製事務用椅子から、最新のエルゴノミックシーティングまで、さまざまな施設で使用される椅子を展示しています。
一方、座り心地や機能面が優れた椅子を使用しても、座り方によって快適性や健康への影響が違ってきます。このため、さまざまな機会を通じて好ましい椅子の座り方について啓発に努めています。「オカムラいすの博物館」には、オカムラが開発したエルゴノミック・シーティング・シミュレータが設置されており、好ましい座り方を体感することができます。
これからも、働く人たちが快適で健康に過ごせる環境づくりに努めていきたいと思います。