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2015年度 特集
特集3

森の健全化と地域の林業再生に向けて進展するHorse Logging Furniture
プロジェクト

馬を使って森から木材を運搬する伝統的な林業手法「馬搬(ホースロギング)」。自然環境への影響が少ない馬搬で運び出された間伐材を使って家具をつくる「Horse Logging Furnitureプロジェクト」の第二弾として、スギ間伐材100%の「trot table(トロット・テーブル)」を製作しました。 

メインイメージ

馬を使って運び出した木材で家具を製作

日本は国土の約7割が森林であり、このうち約4割を人工林が占めています。しかし、その多くは十分な手入れが行われておらず、樹木の生育だけでなく森林が持つ多様な環境保全機能の面でも健全性が損なわれている状況にあります。
オカムラグループは、森林の恵みを受けて事業活動を営んでいることを認識し、生物多様性の保全と森林資源の持続可能な利用をめざす活動「ACORN(エイコーン)」を推進しています。2013年には、「ACORN」活動の一環として、一般財団法人C.W.ニコル・アファンの森財団とともに、馬搬の振興と森の再生を目的とする「Horse Logging Furnitureプロジェクト」をスタートさせました。
馬搬は林道を作る必要がなく、地表へのダメージを抑えられ、きめ細かな樹木の手入れが可能など、環境面で多くの長所があります。馬により運び出された木材を使って家具の製作に取り組むことで、森林の健全化に貢献することができるのです。

地域の木材を使って地域でつくる

「Horse Logging Furnitureプロジェクト」では、アファンの森財団が管理を委託されている長野県・黒姫の国有林のスギ間伐材を使用して、2013年に金属材とのハイブリッド仕様のスツール「KURA(クラ)」を製作しました。これに続き2014年には、プロジェクトの活動に共鳴した福島県南会津のNPO法人みなみあいづ森林ネットワークの協力を得て、「trot table(トロット・テーブル)」を商品化しました。
「trot table」の材料には、「KURA」でも使用した長野県のスギ材と、福島県南会津の人工林から伐り出したスギ材を使用。「KURA」の製作を通じて得た経験を活かし、間伐を行う段階から家具に使用できる木材を選別するなど工夫を重ね、馬搬によるスギ間伐材100%の家具が生まれました。
また、オカムラがこれまで蓄積してきた地域木材活用のノウハウをもとに、製材から家具づくりまでを南会津で行い、木材の調達だけでなく生産過程においても地域とのかかわりを重視しながら進めています。

スギ間伐材の特性を踏まえクオリティを追求

写真伐り出した丸太 写真製材の様子

通常、木製家具には広葉樹などの固い木材が使われており、材質が柔らかいスギは材料に適さないといわれています。加えて、適切な管理が行われていない人工林から伐り出された間伐材には、まっすぐでないもの、枝が残って節になっているもの、節が抜けて穴が開いてしまっているものなど、家具の材料として扱いづらい木材が多くあります。
こうした課題を十分に認識し、「trot table」の製作にあたっては、木の表情やぬくもりを残したスギ100%の家具の製作に向け、パーツ材の太さや天板の木組みなどに工夫を凝らすとともに、安全性や強度の要となる貫材(縦方向の材の間に通す水平方向の材)は、ホゾ組み(一方の材のくぼみと他方の材の突起部分をかみ合わせる方法)を採用しました。
さらに、家具の材料として使えなかった部分は、簡易製材機を用いて板材にしベンチや橋の材料に利用したり、細かいチップにして森に散布し表土を保護するなど、森林資源をムダにすることなく有効活用しています。

「trot table」のデザインポイント

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    中棚の曲線仕上げと末広がりの脚部によって馬のフォルムに見立てたデザイン

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    スギならではの赤太・白太の色合い

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    天板としての精度と強度を高めるために、はぎ(板接合)は本ざね仕様(一方を凸、他方を凹にしてはぎ合わせる)

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    天板裏には馬搬材の使用を示す“Horse Logging Wood”の焼印

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    十分な強度を確保するホゾ組み

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    欧米で広く知られる幸運の印“ラッキー・ホースシュー(蹄鉄)”

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    一台ごとに異なる木目や節の味わい

林業再興と地域活性化をめざして

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NPO 法人
みなみあいづ森林ネットワーク
事務局長
芳賀沼 伸

みなみあいづ森林ネットワークは、林業再興を目的として地域の林業関係者により立ち上げたネットワークです。私たちは、馬搬を広くPRするために「南会津馬搬フェス」というイベントを開催しています。2014年3月の第1回フェスでは「Horse Logging Furnitureプロジェクト」を紹介し、C.W.ニコル氏や岡村製作所に参加していただき、講演会やパネルディスカッションを実施しました。
当ネットワークでは、馬搬による木材の調達だけでなく、南会津のものづくりにつなげていく計画を進めています。今回の「trot table」の取り組みは、岡村製作所、アファンの森財団との協働により製材から家具製作まで南会津で行われ、その先駆けとなりました。
南会津では、馬搬は20数年以上前にすたれてしまい、最近まで担い手がいない状況にありましたが、このプロジェクトを契機に、ものづくりやイベントなどを通じて馬搬を積極的にPRし、南会津の林業再興や地域活性化にもつなげていければと考えています。