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2013年度 特集

特集3 貴重な文化財を守る

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長い歴史の中で人類の活動によって生み出された貴重な文化的作品や資料を、損なうことなく次世代へ継承する――それは、文化財を受け継ぐ私たちの責務です。

文化財を展示・公開し、将来にわたって維持・保護していく役割を担う博物館や美術館は、日本国内に5,700を超える数があり、それぞれの施設において、収蔵品の劣化を防ぎ良好な状態で保存、展示できる環境の確保に向けた努力がなされています。オカムラは、こうした収蔵施設で使用される製品の開発を通じ、社会全体の財産である文化財保存に貢献しています。

文化財の保存時における劣化・破損の要因

文化財を長く良好な状態で保存していくためには、
以下の要因の影響をできる限り小さくすることが重要です。

  1. 温度、湿度、光
  2. 保存空間の空気汚染
  3. 生物の侵入、繁殖
  4. 火災、地震、水害
  5. 盗難、破壊
  • 参考資料:「文化財の保存環境」
  • 独立行政法人 国立文化財機構 東京文化財研究所

文化財保存学の専門機関との新素材の共同開発

文化財保護に最適な合板「インセクターボード」

オカムラは、文化財を劣化させる原因の中でも特に「保存空間の空気汚染(有害な放散ガス)」と「生物の侵入、繁殖(害虫)」の2つの問題への対応に寄与する、文化財にも人にも安心で安全な内装材・構造用合板「インセクターボード」を、文化財保存学の権威である独立行政法人国立文化財機構東京文化財研究所(以下、東文研)と共同で開発しました。

室内の空気汚染の原因となる放散ガスの発生の少ない内装材の開発を進めてきたオカムラは、放散ガスや害虫に強い内装材の開発協力企業を探していた東文研とともに「インセクターボード」を開発し、2012年に販売を開始しました。

東文研では、長年にわたり文化財保護に最適な内装材の研究が進められており、オカムラは家具メーカーとして長年培ってきた木質製品の知識を活かして、製品の具現化に貢献することとなりました。

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インセクターボードの特色

有害な放散ガスを抑制

文化財に有害なアンモニアを発生させない接着剤を使用するほか、酢酸・ギ酸※1を「文化財保存空間の管理濃度指針」※2の基準以下まで低減しています。

  • ※1 酢酸・ギ酸:有機酸の一種で文化財に対して錆や変色といった影響を与える
  • ※2 「博物館資料保存論-文化財と空気汚染」みみずく舎(2010年6月)
高い防虫効果

合板の接着剤には、殺虫効力の高い薬剤のマイクロカプセルを混入しています。薬剤がカプセル内に入っているため人体に害はなく、害虫のヒラタキクイムシが侵入した場合、木とともにカプセルを食べることにより殺虫効果が発揮され、食害を防ぎます。

一貫した管理により品質を管理

製材から接着、防虫剤加工、保管までの全工程を国内で行うことで一貫した管理を行い、高い品質を確保しています。

木材の特性を活かし多様な用途に展開

「インセクターボード」は、木材として加工がしやすいことから、床・壁などの構造用材料だけでなく、展示の設備・備品にも利用されています。展示台や展示パネルとして使用した場合、木材の持つ適度な柔らかさにより緩衝材としても機能します。文化財の保護性能や加工性などの特性が評価され、2012年7月の発売以来各地の施設で採用いただき、2013年6月現在、全国20ケ所を超える博物館、美術館で使用されています。

また「インセクターボード」はシックハウス症候群の原因とも言われるホルムアルデヒドの拡散も極めて少なく、人体に対しても安全な合板です。

写真 江戸東京博物館 展示台

写真 東京都美術館 書画収蔵棚

VOICE有害な放散ガスゼロの合板をめざして

材料(内装材)を自社で開発することに関してはオカムラでは例がなく、戸惑いもありました。しかし、オカムラとしても、社会的にも、貴重な財産になることを確信し、文化財保護の分野で活躍される方の意見をうかいながら「インセクターボード」の開発を進めました。現在は、内装材から放散される化学物質をデータベース化し、今後の文化財保護環境を作る上での指針の策定に取り組まれている東京文化財研究所様のお手伝いをしています。今後は、酢酸・ギ酸の放散濃度がゼロの合板を開発していきたいと考えています。

写真オフィス営業本部
パブリック営業部
林 良典(左)
マーケティング本部
パブリック製品部
高橋道也(右)

安全な保存環境を支える製品

演出と保存機能を両立した展示ケース

2012年グッドデザイン賞を受賞した展示ケース「AZERIA G4(アゼリア ジーフォー)」は、展示品をより美しく演出し、文化財をより安全に保存するためのさまざまな機能を備えています。気密性と調湿機能に加え、展示台部分の材料に「インセクターボード」を使用し、展示品である文化財に求められる最適な保存環境を提供します。

  • ニュースリリース
    展示ケース「AZERIA G4(アゼリアG4)」が「2012年度グッドデザイン賞」を受賞

写真展示ケース「AZERIA G4(アゼリア ジーフォー)」

自然災害などのリスクに備える収蔵庫扉

文化財の収蔵スペースでは、展示スペースと同様に収蔵品の劣化や破損を防ぐ最良の保存環境が求められます。オカムラは、国産第1号の金庫扉を製造した技術を受け継ぎ、優れた耐火・防盗・気密性を備えた収蔵庫扉を開発、提供しています。耐火については、日本セーフ・ファニチュア協同組合連合会(日セフ連)が制定している「金庫設備試験規格」の2時間耐火試験に業界で初めて合格しました。

写真2時間耐火収蔵庫扉 両開き扉

文化財の保護・修復活動に貢献し、文化庁より感謝状を拝受

オカムラが2010年に大型収蔵庫扉を納入した石巻文化センター(宮城県石巻市)は、東日本大震災発生時の津波により完全に水没しましたが、大型収蔵庫扉内への浸水はわずか2cm程度の水位にとどまり、貴重な文化財を水害から守ることができました。また、オカムラは震災後、文化財の修復作業に使用するラックを寄付しており、同センターに収蔵されている文化財の保護および修復活動への貢献が総合的に評価され、文化庁より感謝状を拝受しました。

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